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聖園女学院中学校

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スクール特集(聖園女学院中学校の特色のある教育 #9)

新しい自分に出会うチャレンジ! 南山大学と連携したサマーキャンププログラム

聖園女学院中学校では、8月に「Summer Study Lead Camp」を初開催した。南山大学の学生ティーチャーとの学習やホースセラピー、校外学習を通して、生徒たちはさまざまな「チャレンジ」を経験した。

まずは心身を整える。馬との出会いから始まった3日間

同校は、南山大学と同じ南山学園に属する系列校で、そのつながりを生かし、今年初めて「Summer Study Lead Camp」を実施した。対象は中学1~3年生の希望者で、今回は37名が参加。南山大学教職センターからは、教職を志望する大学生4名が学生ティーチャーとして派遣され、生徒たちとともに活動に取り組んだ。

初日の午前中に行われたのは、御殿場カルチャーファームの協力によるホースセラピーである。学校の中庭に3頭の馬を迎え、レクチャーを受けた後、馬との触れ合いや乗馬を体験した。このプログラムの背景には、心身を整えることが、自律して学ぶための土台になるという考えがある。

教頭の鹿野直美先生は、「勉強も、安定した心の状態になることで、チャレンジできるのだと思います」と話す。そのヒントとなったのが、同校が長年、コミュニケーション研修の一環として行っている「プロジェクトアドベンチャー研修」である。講師の難波克己先生から、「安心できる、リラックスできる脳の状態でなければ、チャレンジを続けるのは難しい」と聞いたことが、ホースセラピー導入のきっかけの一つとなった。

▶︎教頭 鹿野 直美先生

馬に近づくと、その大きさに最初は緊張する生徒もいる。しかし、馬は人の緊張にも敏感だという。馬の体温や独特の歩調を感じながら、生徒たちは自分がどれほど緊張しているのかに気づく体験をした。「意外と平気だと思っていても、実はリラックスできていないこともあります。自分の状態を知ることは、とても大事です。ストレスにどう対処するか、張り詰めた状態から自分の力で安心できる状態へ戻す術を知ることは、これから生きていく上での強みになると思います」

馬との触れ合いには、もう一つの意味もある。自然豊かな聖園の環境を生かし、「共に生きる」というカトリックの価値観に触れることだ。学校にはリスも姿を見せ、中庭では馬が学校の草を食む。人間以外の生き物との出会いを通して、自分もまた自然の中で生きる一員なのだと感じる機会にもなった。

「動物の眼差しは優しくて、自然と笑顔になります。自分よりも大きなものと向き合うことで、謙虚な気持ちになったり、自分も一つの小さな存在だと思ったりする瞬間があります。そうした経験から、本当の優しさとは何かを、生徒自身に感じ取ってほしいですね」と鹿野先生は言う。

生徒たちからは、「馬が大きいので、最初は怖いと思っていたけれど、優しくてよかった」「馬との触れ合いは、心だけでなく体の緊張もほぐしてくれることを実感した」「乗馬をして見た景色が、いつもとは違って新鮮だった」という感想が寄せられた。

馬に触れ、体温を感じ、乗馬によって普段とは異なる視点を得る。まずは心と体を整えることから3日間のプログラムがスタートした。

「教えてください」と自分から。大学生と挑む学習タイム

初日の午後は、学生ティーチャーとの交流が行われた。翌日の学習会を前に、南山大学のある名古屋に関するクイズなどを楽しみながら、大学生と生徒がコミュニケーションを深めた。

南山学園では、南山大学の留学生と交流する中高大連携の国際交流プログラム「Global Friends」も展開している。今回のプログラムは、それとは異なる観点から、中学生と南山大学生が直接関わり、学び合う機会をつくる試みである。来年度から教員として働く大学生が参加することになり、鹿野先生は、「教職への意識が高い学生に来ていただけたことは、大きな強みだと感じています」と語る。

2日目は、一日を通して学習に取り組んだ。生徒自身が5教科の中から取り組みたい勉強を持参し、事前に学習目標を設定。わからないところがあれば、学生ティーチャーに質問しながら学習を進めた。

ある中学1年生は、英語の学習で大学生に付き添って教えてもらった。一方で、わからないことがあっても自分から質問できず、手が止まっている生徒もいた。「大学生がその生徒のところへ行ってみたら、問題の空白部分に小さく『教えてください』『助けてください』と書いてあったそうです。普段から積極的に質問することが苦手なタイプだと知ってはいましたが、自分の気持ちを正直に表現できたことは素晴らしいこと。そのサインを学生が見つけてくれて、その後の勉強はとてもはかどったそうです」と、鹿野先生は言う。

少し年齢の近い大学生だからこそ生まれる関係性もあり、生徒たちは通常の授業とは違う表情を見せていたようだ。「『教えてください』と声をかける時も、とてもうれしそうでした。学生も『一緒に考えよう』『ヒントを出すから一緒にやろう』という姿勢で関わってくれました。一緒に考えてもらえる存在のあることが、生徒にとって安心感になったのだと思います」

夏休みには、自宅ではなかなか進まなかった勉強を持ってきた生徒も多かったが、学生ティーチャーと一緒に取り組むことで、普段以上に学習が進んだそうだ。ここに、今回のプログラムが目指す「学習」の姿がある。一人で悪戦苦闘するだけでなく、困った時には人に助けを求め、誰かと一緒に考えながら問題を解決する。そうした力を身につけ、学習以外の場面につなげていくことが狙いである。

「勉強は、成績や大学進学など、そこが一番気になるところだと思います。でも、子どもたちはその先を生きていかなければなりません。中学生のうちに身につけておいたほうがよい力は、いい点数を取ること以上に大切だと考えています。結果的に、それが点数にもつながっていけばよいのではないでしょうか。

今回、学生ティーチャーは、正解を教えるだけでなく、生徒が自分から質問してきたことや、一緒に問題を解決する過程を大切にしていました。生徒たちにとっても、わからないことがわかったという達成感や、思っていた以上に勉強がはかどったこと、教わることの楽しさやうれしさを感じられたことが、今回の成果だったと思います。楽しいからチャレンジもできる。そういう状態が、次の一歩につながるのだと思います」

異学年で協力し、校外へ。水族館で広がった学び

3日目は、学生ティーチャーと生徒が一緒に「新江ノ島水族館」を訪れた。中学1~3年生が混在する縦割りの班に分かれ、水族館から出題されたクイズに協力して答える活動にも取り組んだ。この校外学習には、生徒だけでなく、学生ティーチャーにとっても学びの機会にしてほしいという意図があった。

「学園内の連携プログラムなので、本校の中学生だけにメリットがあるものにしてはいけないと思いました。大学生にとって、校外学習で生徒を引率する機会はなかなかありません。教育実習でも、こうした経験はできませんから、こちらから提案しました」と、鹿野先生は説明する。

実際に、学生にとっては3日間の中で最も緊張した活動になったという。「生徒は性格や興味の対象もさまざまです。個々の気持ちを尊重しながらも、集団として時間内に行動することにも気を配らなければなりません。責任もありますから、学生にとっては大きなチャレンジだったと思います」

一方、生徒にとっては、中学3年生が下級生をサポートする機会となった。同学年の友人だけで行動するのではなく、異学年の班で活動することで、自然と上級生の役割が生まれた。「中学3年生からは、『リーダーとして下級生をサポートすることが勉強になった』という感想もありました。中高一貫校だからこそ、上級生が下級生を支える経験を積み重ねていけたらよいですね」

「出会い」を学びに変えて、次のチャレンジへ

今回が第1回となった「Summer Study Lead Camp」は、生徒と大学生が学び合う新たな教育プログラムとしてスタートした。来年度以降も内容をブラッシュアップしながら継続していく予定だ。

「カトリック学校として出会いがあるのなら、出会いから学び、自分の良さを見つけ、チャレンジしていく。そういう教育環境をつくりたいと思っています。また今後は、南山大学と聖園女学院、それぞれの場所を行き来しながら、生徒と大学生が交流する機会も増やしていけたらいいですね」と、鹿野先生は抱負を語る。

最後に水族館で別れる際、学生ティーチャーのために手作りしたキーホルダーを、こっそり渡していた生徒もいたという。学習を教えてもらうだけではなく、3日間を一緒に過ごす中で、自然と感謝を伝えたいと思える関係が生まれていた。

「AIで対話ができる時代だからこそ、直接コミュニケーションを取れる機会を大事にしたいと思っています。もらうだけではなく、自分がこう関わったら、こういうものが返ってきた。そういうことを体感してほしい。そして、自分が体験したことを、今度は誰かに伝えてあげられる人になってほしいと思っています」


<取材を終えて>
馬の体温や息遣いを間近に感じ、学校の中庭で馬と触れ合える。その贅沢な体験にまず驚かされた。けれど、このプログラムの本当の魅力は、体験を「楽しかった」で終わらせず、人や自然との出会いを通して、自分自身を知り、次のチャレンジにつなげる仕掛けにあると感じた。

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