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和洋九段女子中学校
スペシャルレポート <第8回>

PBL型授業の蓄積と柔軟な対応で
オンライン授業をスピーディーに実現

和洋九段女子中学校・高等学校では、コロナ禍の休校に伴い4月13日からZoomを使用したオンライン授業を開始。迅速かつ効果的に双方向のオンライン授業を実施できたのは、「変化に対する柔軟な対応とPBL型授業の積み重ねによるものが大きい」と教頭の新井誠司先生は分析する。同校の休校時の取り組みを取材した。

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オンライン授業の構築の過程

和洋九段女子中学校・高等学校は、新学期の開始とほぼ同時にWeb会議アプリZoomを使用したオンライン授業を実施。どのようにしてオンラインシステムを構築し、学びの環境を作ってきたのか、教頭の新井誠司先生に話を聞いた。

新井誠司教頭先生

3月からオンライン授業の準備を開始

新型コロナウィルス感染拡大に伴い、3月2日~春休みまでの期間、全国的に小中高が休校となった。同校では、4月以降も通常登校ができない可能性を考慮し、春休みからオンライン授業の準備に取りかかったという。
「とは言え、3月18日に職員会議を開いた時、Zoomを知っている教員は、私を含めて3人しかいませんでした。そこから先生たちへ使用方法などの説明を開始し、私自身も外部の勉強会に参加して準備を進めました」

4月4日には、全校生徒に向けてZoomを使用したオンライン授業を実施することを告知。そして本来なら6日に始業式、7日に入学式を行う予定だったが、急遽取り止めてその2日間を使い全校生徒に教科書を配布。タブレットにZoomのアプリをインストールした。同校は全学年が1人1台のタブレットを保有し、新入生も保護者もしくは本人が来校してタブレットを受け取り、その場で起動確認を行った。

8日は、先生たちがZoomのレクチャーを行い、学年及び教科会議を開いて問題点を洗い出した。その後、各自宅のオンライン環境の確認、Zoomの接続の確認をして、実際に作動できるかを先生同士でテスト。使用マニュアルも作成した。

Zoomによるオンライン授業。生徒たちの様子が確認できる

先生、生徒、保護者の協力体制で授業が実現

4月13日、双方向型のオンライン授業が開始した。朝にホームルームを行い、40分間の授業を3コマ行うというスケジュールだ。「当日は、教員が学校に来て、教室から配信し、不具合がないかをチェックしました。数日はオンライン授業に慣れるためのトレーニング期間とし、その間、出席の取りやすい方法の情報を集めたり、ブレイクアウトというグループ分けのマニュアルを作成したりしました。17日からは、原則、すべての教員が自宅から授業を配信することにしました」と新井先生。

生徒のいない教室でオンライン授業をする先生

オンライン授業の準備から開始まで、スムーズに進んできた印象だが、困難なことはなかったのだろうか。
「最初は、先生たちの不安を取り除くことに苦心しました。Zoomもそうですし、何もかも初めての取り組みなので不安を感じるのは当然のことです。まずは、サポート体制を徹底して、みんなで取り組むことを確認し、学び合いながら乗り越えていきました。準備を進めていくと想像以上に先生たちの団結力が強く、ちょっと感動的でしたね。それは生徒も保護者も同様で、皆さんがオンライン授業に対してとても協力的でした」

5月11日からは、40分間×5コマに授業数を増やした。5月末に緊急事態宣言が解除されると、6月1日から登校が再開。
「2日は中学1年生の入学セレモニーも行いました。保護者には、Zoomの配信で式の様子を見てもらいました。今年は歌を歌うこともできなかったのですが、中学2年生が事前に校歌を歌い、それを編集して、当日サプライズビデオとして流しました」
3日以降は、週に2日登校、それ以外は自宅に待機して、オンラインで授業を受けるという分散登校を実施。1学期間は、このスタイルで授業が行われた。

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授業の振り返りと今後の展開

4月13日という早い時期から、オンライン授業を開始した同校。新井先生は「生徒の学びを止めない」「教員の一方通行ではなく、共に学ぶ場を提供する」という先生たちの一致した思いが、迅速かつ双方向型のオンライン授業を実現したと話す。

PBLの学び方がオンライン授業に合致

休校中、オンライン授業に関してアンケートを実施したところ、約9割の生徒が満足していると答えたという。「不満を指摘した生徒は、Zoomがつながりにくいといったシステム関連の問題でした。私たちは『全員に学びを届け続ける』ことを目標にしてきたので、一人ひとりの自宅のオンライン環境を聞いて、不十分なところは、容量を増やすなどの対応をしました」

そして新井先生は「オンライン授業がうまく機能したのは、本校が数年前から取り組んでいるPBL(Problem Based Learning)型の授業が、Zoomと噛み合ったからではないか」と分析する。PBLとは、先生がトリガークエスチョン(導入の課題)を投げかけ、生徒はその問いに対して自ら考え、グループで話し合い、意見をまとめて最後に発表するという学習スタイルのことだ。
「生徒が発信しなければ、授業が成立しないという学びがベースにあり、そうした経験を重ねるうちにシステムが確立し、中1であってもPBLの授業を行うことができました。中2以上は蓄積があるので、画面越しであっても活発に発言したり、チャットに打ち込んだり、ブレイクアウトで話し合いをしたりしていましたね。教員が一方的に教える授業であれば、Zoomを使う必要はありません。私たちは生徒主体の学びを続けたかったのです」

コロナ禍以前のPBL型授業の様子

変化に対応し、チャレンジできる環境作り

オンライン授業は、先生たちにとっても、授業方法を見直すきっかけになったという。「資料の見せ方など、オンラインで工夫したことを対面授業にも取り入れているようです」と新井先生は話す。
また生徒たちも「Zoomにはチャット機能があるから、質問や意見が言いやすい」「英語の発音をする時、ミュートにすれば大きな声で恥ずかしがらずにできる」などとオンラインならではのメリットを見出していたようだ。

1対1で生徒の質問に答える

「オンライン授業は、私たちにとってもチャレンジでした。失敗するかもしれないという不安がなかったわけではありません。しかし、失敗したらそれをみんなで共有し、改善していこうと教員間で話し合い、柔軟に対応することができました。子どもたちは、大人が困難だと思っていることも平気で乗り越え、また、大人が想像する以上のものを見せてくれます。今回、そのことを実感するとともに、大人がリスクを恐れて子どもの可能性を狭めてはいけないと強く思いました」

オンライン授業という新たな取り組みを経て、今後はどのような教育活動を目指しているのだろうか。
「一番には、これまでと同様、変化に柔軟に対応したいと考えています。コロナ禍以前の体制に戻ることも大事ですが、これからの時代、安定だけを求めて乗り越えていけるのかは疑問です。変化せざる得ない時に、臨機応変に対応できる体制を組織として作っていきたいです」と新井先生は言う。

対面での授業も再開した

「本校は、伝統校の良さを残し、PBLやグローバル教育など、21世紀型の教育に取り組んでいます。そして、このハイブリッドな体制こそが強みだと思っています。本校の生徒たちは、落ち着いた感じの子が多いのですが、オンライン授業ではキーノートやパワーポイントを使って手際よく資料を作り、ブレイクアウトで活発に発言している。本当に軽やかです。中1も、入学して一度も対面していないにもかかわらず、オンラインのホームルームでワイワイ盛り上がっていて驚きました(笑)。大人の常識をはるかに超えているわけです。ですから、安全性を配慮しながら生徒たちが思い切りチャレンジできる環境を作っていく。それが、学校の役割だと思っています」

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中1生、高1生へインタビュー

休校期間のオンライン授業に対して、生徒たちはどのような感想を抱いていたのだろうか。中1と高1の2人の生徒に話を聞いた。

Nさん(中学1年生)・Kさん(高校1年生)

―― 新学期早々に休校になり、どのような気持ちでしたか?

<Nさん> 入学しても学校に行けず、初めは不安でした。でも、すぐにオンラインで先生やクラスのみんなと話ができて、安心感をもつことができました。Zoomは、顔と名前が一緒に映るので、クラスメイトを把握しやすかったです。また、会ったことがないのに、周りの生徒が話しかけてくれて、画面越しでも接しやすい人が多い学校だなと思いました。

Nさん

<Kさん> 学校へ行かないと何をしていいかわからず、最初の頃は少し怠惰な生活を送ってしまいました。オンライン授業が始まって、生活の立て直しができたのが良かったです。朝早く起きて、予習もするようになりました。Zoomの画面で友だちの顔を見るのは、なんとなく不思議な気もしましたが、すぐに慣れました。

Kさん

―― オンライン授業の感想を教えてください。

<Nさん> 最初はタブレットの使い方がわからなくて戸惑いましたが、最初のホームルームで丁寧に教えてもらい、使いこなせるようになりました。オンライン授業は、終わった後に質問の時間があり、先生とメッセージをやり取りすることができます。他人の目が気にならず、家にいる安心感もあって質問がしやすかったです。
<Kさん> オンライン授業では、先生が「ノートに書き終えた?」と細かく声をかけ、私たちにスピードを合わせてくれるのが良かったです。PBLの学習も、ブレイクアウトで意見を言い合い、プレゼンも問題なくできました。日頃からタブレットを使っているので、特に大変に感じることはなかったです。
他の学校に通う友だちと話をした時、授業動画しか見られないと言っていたので、和洋九段は学習の環境に恵まれているなと思いました。双方向の授業のほうがみんなの頑張っている姿が見えるので、自分も頑張ろうと励みになりますね。

―― オンラインでのやり取りが良かったと感じたことは?

<Nさん> 家にずっといたので、オンライン授業でみんなの顔を見ながら学習ができるのが至福の時間でした。一度、クラスでオンラインのランチ会、と言ってもお昼に何を食べたかを話すだけですが、雑談もして楽しかったです。毎日、先生とクラスメイトと顔を合わせていたので、登校が始まってもすぐに馴染めました。
<Kさん> 画面越しであっても、友だちと毎日会えるのはうれしかったですね。私たちのクラスは、オンラインお茶会をしました。先生との面談も何度かあって、その都度「最近はどう?」と声をかけてくれ、元気をもらいました。授業もそうですが、毎日リアルタイムで先生や友だちとつながれたのは本当に良かったです。

―― 登校が再開し、何か思うことはありますか。

<Nさん> やはり直に友だちと会って、話ができるのがうれしいです。ソーシャルディスタンスはあるけれども、近くで勉強している姿が見えて学び合いができるのは、学校ならではの良さかなと思います。あと、文化祭などの行事もできるようになったらいいですね。
<Kさん> 画面で顔は見ていたけれど、友だちに会えて懐かしい! と感じました。オンライン授業は質問がしやすいなど良い面はたくさんあるけれど、毎日だと少しストレスも溜まり、週2回の登校というのはちょうどいいバランスです。
また、中学校時代を振り返ると、先生が一人ひとりの生徒を見て良いところを認め、伸ばしてくれたなと感じます。勉強に対するモチベーションが上がったのも先生が頑張りをほめてくれたから。そういう学校生活が戻るといいなと思います。


取材を終えて

取材をして、まず驚いたのがZoomのオンライン授業を4月13日に開始したということだ。タブレットの活用や、大型スクリーンを配したFUTURE ROOMの設置など、ICT教育に取り組んでいる同校だが、オンライン授業に関しては、0からのスタートだった。にもかかわらず、生徒や保護者も満足のいく授業を提供できたのは、新井先生の言う「変化に対して柔軟に対応できる力」、「先生の協力体制」、そして「生徒の可能性を信じる」気持ちがあったからだと思う。今回のコロナ禍は、学校の真価が問われる1つのきっかけになったのではないだろうか。

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