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常翔啓光学園中学校

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スクール特集(常翔啓光学園中学校の特色のある教育 #4)

学園内大学進学クラス誕生!~主体的・協働的に学び続ける10カ年教育~

2023年度、高2進学コース内に学園内大学進学クラスが誕生。同クラスでは総合的な学習の時間を多く設定し、主体的・協働的に学び続ける人の育成を目指すという。中学教頭の岩村聡先生に話を聞いた。

難関国公立大学・医歯薬系大学を狙える高い学力を身に付けることを目的とする特進選抜コースと、難関私大・学園内大学の進学を目指す未来探求コースの2コース制を敷く常翔啓光学園中学校。学園の建学の精神である「世のため、人のため、地域のため、理論に裏付けられた実践的技術をもち、現場で活躍できる専門職業人を育成する」に基づく教育を実践するため、特に未来探求コースでは大学や企業との連携のもと、探究活動に力を入れてきた。
この中学3年間の探究活動で培った主体的・協働的に学ぶ力をより高めるべく、「総合的な探究の時間」を多く設定した学園内大学進学クラスを高校2年次に設置。同クラスでは学園内大学進学を視野に入れ、中高大の10年一貫教育を目指す。同クラスでの学びについて、中学教頭の岩村聡先生(以下、岩村教頭)にインタビューした。

▶︎中学教頭 岩村聡先生

中高大10年一貫教育で、主体的・協働的に学ぶ力を伸ばす

2023年度から高2進学コース内に、探究活動に力を入れる学園内大学進学クラスを設置した常翔啓光学園高校。同クラス設置に至った理由について、岩村教頭は以下のように説明する。

「本校では以前より中学では探究活動に力を入れており、全国区の探究の大会で優勝するチームが出てくるなど、一定の成果を上げてきました。しかし、高校では大学受験があり、なかなか中学校と同じレベルで探究の時間を設けられていませんでした。一方、大学も我々親世代の頃とは違い、今はアクティブラーニング型の授業が中心で、人と協働して意見をまとめ発表する機会を非常に多く設けています。中高大の10ヵ年のうち、高校だけ探究的な学びが抜け落ちているという状況を打破するため、探究活動に重きを置いた学園内大学進学クラスの設置を決めたのです。」

同クラスでは、主に同じ学校法人である摂南大学文系学部への進学を目指す(他大学への進学も可能)。必要性の低い大学受験に向けた課題やイベントの時間を減らし、その分を「総合的な探究の時間」に充てることで週6時間の探究活動の時間を確保。探究活動も摂南大学と連携して展開する。

岩村教頭は「学園内大学への進学を視野に入れて、高校でも探究活動に力を入れることで、中高大の10ヵ年を通して主体的・協働的に学ぶ姿勢を育んでいきたいと考えています。」と意気込みを語る。

探究活動で得られるのは、自分の頭で考え実行できる力

同クラスの一期生は1クラス32名。大部分が中学校の未来探求コースからの進学者だという。

この理由について、「中学時代の探究の経験を通して、生徒は自分の興味を持ったことをどんどん深掘りしてまとめ、発表する楽しさを知ります。その『探究活動が楽しい』という気持ちが、学園内大学進学クラス選択につながっているのではないでしょうか。」と岩村教頭は分析する。

中学では1年生から探究活動を実施しており、新聞を作ったり、全国大会(クエストカップ)に出場したりしている。これらの探究活動を行う上で気をつけていることは「生徒の自由にさせること」と岩村教頭。

「教員は口出しせず、生徒が自分で考えて、やってみることを大切に進めています。成功しても失敗しても自分の責任だと伝え、僕ら教員は成功したらものすごく褒めますし、失敗したら一生懸命励まします。自分の責任で物事を進めていく経験を積むことで、生徒は自信を得て成長します。そして、この自信が自己肯定感につながるのです」

続けて、岩村教頭は「探究活動を通して得られるのは偏差値ではなく、将来何かあった時に『これをやったらアカンな』『こういう危機的状況だったら、こうした方が良いな』など、自分の頭で考えて実行できる本当の賢さです。それに自己肯定感が加わることで、自分の軸を持って色々なことに取り組める力になると考えています。探究活動を通して得られるこの力は、未来を生きていく上で必要とされるものです」と熱く語る。

地域創生をテーマに、地域とも連携しながら探究活動を進める

同クラスでは摂南大学現代社会学部の協力のもと、地域創生をテーマにした探究活動を実施する。その内容について、岩村教頭はこう述べる。

「例えば、駅前にある宮之阪商店街の活性化案や地元の老舗和菓子店の商品を全世界に売るための施策を考えるなど、地域の方とも連携し、探究活動を行っていきます。探究の時間は午後から2コマ連続で設定しているので、午後から商店街に実際に足を運んでみるなど、授業の進み具合によって柔軟な対応ができます。色々なプロジェクトを通して、地元枚方を盛り上げていく方法を考えたいと思っています。高3へはクラスがそのまま持ち上がりになるので、探究テーマによっては2年間掛けてじっくり取り組み、最終的に3年生で卒業研究発表をする生徒も出て来るのではないかと期待しています」

また、探究活動の開始に先立ち、同クラスでは4月に琵琶湖でスタートアップ合宿を行ったという。この合宿の目的は、「探究活動をスムーズに進めるためのクラス作り」だと岩村教頭。

「この合宿では、一緒にカレーを作ったり、キャンプファイヤーをしたり、『だるまさんが転んだ』をするなど皆で遊んだり、班に分かれて本棚も作りました。楽しい活動を皆で経験することで、『このクラスやったら、ちょっとズレたことを言っても受け入れてもらえる』という気持ちが生徒に生まれます。このような心理的安心感があるからこそ、生徒は自由に思ったことを発言でき、それが探究活動を行う上での協働作業や発表の充実につながっていきます」

高校で大学の単位を先取り取得できる韓国海外実習

摂南大学は海外の交流協定大学、友好大学とのネットワークを基盤に学術交流を推進するとともに、短期語学研修や長期留学を実施するなど、幅広い国際交流に取り組んでいる。その一環として実施される韓国海外実習に、同クラスの生徒は大学生と共に参加することができるという。

「このプログラムでは、韓国の郊外にある大田大学校で韓国の言語や文化について学びます。日数は、夏休み期間中の約20日間。摂南大学からは20名、本校からは6名が参加します。参加することで大学の学びに触れられるだけでなく、事前学習・海外実習・事後学習のすべてに参加すると摂南大学の2単位を取得することができます。このことで生まれた時間の余裕を、大学入学後の資格取得のための学習や他の留学プログラム、ボランティア活動などに充てることができるのは大きなメリットです」

【取材を終えて】

同クラスでは、自分の好きや興味を見つけ、自分を理解することを大切にしている。そのために、クラススタート時に外部のアンケート調査に取り組んだという。

「探究活動を行う上で、自分は何が好きか・何に興味があるかを知ることはとても大切です。自分の好きなことを深掘りするために、外部のアンケート調査を導入しています。」

このアンケートには一般的な質問項目だけでなく、文章を校正する問題など、多岐にわたる設問が用意されており、岩村教頭も挑戦したところ、終わらせるのに1時間ほどかかったそうだ。

「このアンケートを通して、自分の『好き』を突き詰めてほしい。すると、自分が気付いている『好き』の範囲の外に意外な発見があったりします。いろんな『好き』を発見することが将来の選択肢を広げることにもつながります。」と岩村教頭。

このアンケート調査だけでなく、日々の探究活動を通していろんな『好き』を見つけること、そしてそれを深掘りする経験を重ねていけるカリキュラムが同クラスには整っている。

着実な成果を上げてきた中学の探究活動に、この高校での3年間の活動が加わり、それが大学への4年間につながっていく。中高大の10年を通して発達段階に合わせた教育を行い、主体的・協働的に学ぶ姿勢を着実に養っていける環境があることは、同校の大きな強みである。

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