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とうきょうとしだいがくふぞく

東京都市大学付属中学校 

スクール特集(東京都市大学付属中学校の特色のある教育 #2)

6人に1人が帰国生。その絶妙なバランスが化学反応を起こす

「主体的な学び」「キャリア教育」「国際理解教育」を教育の柱とする東京都市大学付属中学校。2014年度から始めた「帰国生入試」が好調だ。帰国生入試を含む国際理解教育にスポットを当て、レポートする。

東京都市大学付属中学校の国際理解教育は、海外研修だけでなく、学校での授業や日々の学校生活の中でも行われている。それは、毎年一定数の入学がある帰国生の存在によるところが大きい。帰国生1:一般生5の絶妙なバランスが、どのように働き、どのような効果をもたらしているのだろうか。国際部担当の松尾浩二先生に話を聞いた。

好調な帰国生入学の裏にある細やかな体制作り

2019年度、初めて全学年に帰国生が在籍となった同校。第一期生は19名だった帰国生は3年目からは毎年40~50名の入学があるという。2020年度、志願者も280名を超えるまでになった。
「大事なのは入学後です。入った後、どうしていくのか、どのように道筋をつけてあげるかということが一番心配でした。ですから、1年目、2年目は帰国生の保護者が何を考えているのか、どうして欲しいのかをしっかり聞き、カリキュラムや制度に反映させてきました。それが評価され、海外の日本人コミュニティに口コミで広まり、志願者数が増えているのだと思います。帰国生入試を行っている学校は多いかもしれませんが、毎年、必ず一定数の帰国生を確保することが大切であると考えています」(松尾先生)

各学年1クラス分の帰国生が在籍する同校では、入学後のフォロー体制も十分だ。英語に関して言えば、週7時間ある英語の授業のうち4時間あるリーダーの授業に限って、英語の運用能力の高い生徒だけを集めた「取り出し授業」を行い、身につけた英語力の維持を図っている。このクラスは完全にネイティブが担当する授業となっており、中1~高1まで実施される。その他、グラマー、コミュニケーション(英会話)については全生徒、同じ授業で文法を一から学ぶ。英語を流暢に話す帰国生でも、きちんと文法を理解している生徒ばかりではない。そのため、大学受験を見据えた場合、例えば五文型といった文法の基礎から理解することが不可欠だという。また、中1~中3の国語が苦手な帰国生に対し補習を実施。日本の小学校を卒業していれば誰もが知っているような基本的なことから教えている。

また、本帰国が確定しない家庭のための「編入保証」という制度も設けられている。これは、中学入試に合格しさえすれば、その後、いつでも編入できることを保証する制度だ。帰国生入試を受ける時点で本帰国が決まっていない家庭や、いったん帰国したものの、また海外転勤になる家庭もある。その場合、4月の入学式とその後1週間のオリエンテーションに参加すれば、原則として6年間どのタイミングでも復学できる。中には中3の2月に復学した生徒も。2020年度も帰国生入学者40名中、6名がこの制度を利用するという。

▶︎松尾先生

お互いを認め切磋琢磨することで化学反応が起こる

小説を英語で読み、英語を普通に話す帰国生を見て、一般生は「同級生があれだけやれるのだから自分だって」とやる気を出す。一方の帰国生は、一般生と交流する中で、日本では当たり前の常識や歴史などを知らないことに気付く。小学校時代を海外で過ごした生徒と、塾などに通いながら日本で過ごした生徒とでは、国語、数学、理科、社会などの理解度には大きな差がある。そんな中で、得意なものを教え合う風土が自然にできてきたという。互いが互いを認め合い、共にレベルアップしているわけだ。

学業面だけではなく、化学反応は学校内でのグローバル化にもつながっているようだ。グローバル化というと日本から海外に出ることが真っ先に連想される。だが、小学校までを海外で生活していた生徒が学内に一定数いることによって、教室内がグローバル化することになる。学校生活の中で、海外の文化が帰国生から一般生に自然にもたらされるのだ。これは、そもそも帰国生入試を始める際の目的の一つだったそうだ。実際に、一般生の中からも、高校での留学希望や、将来的に海外を視野に入れた仕事に進みたいという生徒がかなりの数出てきている。

「今は、どの学年にも一定数の帰国生たちがいる状況です。今後も帰国生の入学数は維持したいと思っています。そして、今以上に、帰国生と一般生が交わることで、相乗効果を出していきたい。これからも生徒会活動を中心として、帰国生が学校を動かしていく原動力になってほしいと願っています」(松尾先生)

英語力アップにつながるカリキュラム

同校の英語の授業は週7時間。時間数が多いこともさることながら、テキストの選定からカリキュラムまで、十分に考えられた英語教育がされている。もちろん、帰国生の影響もあるが、定期的に実施される全国規模の模擬試験の結果も、年を追うごとに上昇を続けている。帰国生に刺激を受け、一般生の英語学習に対するモチベーションが上がってきているのだ。

リーダーの授業は週4時間。中1~高1までは一般クラスと取り出しクラスに分かれるが、高2からはその区別がなくなり、大学受験を念頭に置いた文理別のクラス編成が敷かれる。なお、一般クラスでは中2までに中学の内容を、高2までに高校の内容をすべて終了させる。また、授業についていけない生徒に対しては、中1~高3まで強制的に指名補習が行われ、わかるまでケアする体制が取られている。

残りの3時間は全生徒が同じ授業を受ける。3時間の内訳は、グラマー2時間とコミュニケーション(英会話)1時間だ。文法の理解が重要なのは、一般生に限らず英語を巧みに操る帰国生にとっても同様である。例えば、取り出し授業で10段階の10を取るような生徒がグラマーでは8に留まるという現象も起こるという。また、コミュニケーションの授業は40名のクラスを2つに分けて進行される。それぞれが外国人講師と日本人教師のティームティーチングである。

その他にも英検取得を推進している同校には、学年横断の英検対策講座がある。受験する級別の講座を設け、2次面接の対策も実施されており、このような取り組みが英検取得率の高さにつながっている。英検3級の取得率は中3で98%。中2で英検1級を取得している生徒もいる。

4つの海外研修プログラムが国際理解を後押し

国際理解を進める同校には4つの海外研修プログラム(全員参加1、任意参加3)がある。こだわっているのは「ホームステイ」だ。どのプログラムにも必ずホームステイが組み込まれており、特に、希望者が参加するプログラムでのホームステイは1家庭に1人。その土地の文化や生活を肌身で体感してきて欲しいというのが一番の目的だ。慣れない外国で、異なる言語で、しかも自分ひとりで外国人家族の一員として過ごす経験は、多感な時期を迎える生徒たちに大きな影響を与える。

例えば、中3の3学期に実施される「ニュージーランド3ヶ月ターム留学」。参加した生徒はひと回りもふた回りも大きく、逞しくなって帰ってくるという。普段、家で無口だった生徒が帰国後よく話すようになったり、部屋の片付けなどしなかった生徒が進んで片付けをしたり。学校生活においても、自ら進んで係などを引き受ける姿が見られるという。

「日本に居れば、何も言わなくてもご飯が出てくるし、洗濯もする必要がありません。しかし、ホームステイでは、自分で、しかも英語ですべてを伝えなくては何も始まりません。全然理解できない授業も出なくてはいけないということで誰もが最初は苦しんでいます。でも、苦しんだ中でやってきたからこそ、みんな逞しくなって帰ってくるのだと思います。また、当初の目的は当然英語力を伸ばすことにありましたが、プログラム開始後、全く別の素晴らしい効果があることがわかってきました。『中2病』ということばがありますが、思春期の男子が、もやもやした気持ちのまま3〜4年かかってやっと克服する時期を、この中身の濃いターム留学を経験した生徒たちは、わずか3ヶ月で乗り越えているような印象があります」(松尾先生)

プログラムは以下の通りだ。

●マレーシア異文化体験プログラム(中3・希望者)
10日間のプログラム。中7泊は現地の家庭にホームステイ
●ニュージーランド語学研修(高1・希望者)
ホームステイをしながらニュージーランドにある姉妹校に通う。家族の送迎、あるいは自分でバスや電車を使って登校し、学校の中ではバディと一緒に行動。実際に現地の授業に参加
●ニュージーランド3か月ターム留学(中3・希望者)
中3の3学期をニュージーランドでホームステイをしながら、現地の学校に通い、授業や部活など、現地生徒として参加。1校につき同校の生徒は1人。英語力と自主性を伸ばすことに適したプログラム
●アメリカ西海岸研修旅行(高1・全員参加)
UCLAまたはカリフォルニア工科大学を見学、シリコンバレーでアップルやインテル、グーグルなどを訪問、スタンフォード大学のキャンパスツアーなど、海外の大学の雰囲気を肌で感じるとともに、世界で活躍する人と触れる機会に。西海岸に拠点を持つ日本企業にも訪問する。週末の2日間は2人1組で現地家庭にホームステイ

在校生が語る「学校」「海外研修」そして「将来」

●Sくん(高1・Ⅱ類)
3~6歳をアメリカで、7~10歳をインドで過ごし、11歳の時に日本に帰国。帰国生入試を経て同校に入学。英検準1級。

Q.なぜ、東京都市大学付属中学校を受けようと思いましたか?

Sくん:アメリカでは現地校に、インドでは日本人学校に行っていました。11歳で帰国し、日本の学校に。ホームページや合同学校説明会で東京都市大学付属中学は国際的な人が集まっていると知って、これまでの経験を共有してみたら面白いのではないかと思って受験しました。

Q.日本の学校と海外の学校はどんなところが違いますか?

Sくん:雰囲気が違います。海外は自分のことを主張する人が多く、騒いでいる生徒が多いです。日本だと、礼儀をわきまえているというか、ほかの人のことを考えている人が多いなと感じました。アメリカは現地校だったので、まさにそんな感じでしたが、インドは日本人学校だったので、少しマイルドだったと思います。

Q.同校の英語教育についてどう思いますか?

Sくん:授業数が週7時間と多いので、身体に染み付くと思っています。英語はあまり得意ではないので、得意な帰国生に教えてもらったり、英語力アップのために、取り出し授業に参加したりもしています。中学の時はアメリカのスラングのクイズを出してくれる先生もいて、楽しく学ぶことができました。今教えてもらっている先生は厳しいですが、生徒たちのことをよく考えてくれていて、ダメなところもちゃんと指摘してくれるので、ありがたいと思っています。

Q.参加されたマレーシアの異文化交流プログラムについて教えて下さい。

Sくん:現地に溶け込みたいという思いはあり、海外に行ってみたい気持ちはありました。ニュージーランド研修は3ヶ月と期間が長くて、自分が耐えられるか心配で怖かったので、10日間のマレーシアにしました。
滞在は驚きの連続でした。家にコウモリが入ってきたことがありましたし、食事は辛くて野菜は硬かったです。マレーシアは敬虔なイスラム教徒が多く、礼拝にも参加させてもらいましたが、食事にも気を配っていて、日本との違いを感じました。英語もですが、異文化を感じることができた体験でした。子どもたちがたくさんいて、マレー語を教えてもらうなど、レアな経験をしました。
アメリカ、インド、日本、そしてマレーシアと、いろいろな国の文化を知ることで、日本の文化がより好きになりました。他の国の文化を知って、積極的に日本の文化を調べよう、日本の文化を大切にしようという気になりました。

Q.高校を卒業するとき、どんな自分になっていたいですか?

Sくん:「世界の中の」とか「日本人としての」自分ではなく「独立した自分」でいたいと思います。今まで「日本人としての」とか「海外に行ったことがある」ことなどを意識してきましたが、これからは「人間としての自分」として戦っていきたいです。
また、情報科学に興味があるので、大学に入って論文を読むときに英語を使いたいと思っています。日本の論文だけでは数が限られてくるので、英語の論文を読むことで、自分の知見を広めたいと思っています。

●Yくん(高1・Ⅱ類)
一般入試で入学。野球部、キャッチャー。英検2級。今年惜しくも8ポイントで英検準1級合格を逃す。英語のリスニングは全校2位の成績。

Q.ニュージーランドの3ヶ月ターム研修に参加した理由を教えて下さい。

Yくん:将来、海外で仕事をしたいと思っているのですが、まだ、海外に触れたことがなかったので、行きたいと思いました。僕は野球をやっていて、将来はアメリカで野球をしたいと考えています。夢はメジャーリーガーです。

Q.ニュージーランドでの学校生活はいかがでしたか?

Yくん:自ら話していかないと友達もできず、最初は本当につらくて学校に行きたくなかったです。でも、最初の1週間の語学学校で現地の英語を学び、授業を学んだおかげで、自信が付きました。その1週間が自分にはすごく大きかったです。現地校には日本人の先輩がいて、いろいろ教えてもらうこともできました。学校は日本と全然違って、自分から発言しないといけないと思って、積極的に発言するようになりました。友達と話していても急に割り込んできたりします。

なんといっても、野球をやっていたことが良いきっかけになりました。僕はニュージーランドでも野球をやっていたのですが、言葉はわからなくても動作でわかるので、野球をするのには不便はありませんでした。野球を通じて友達もでき、流行りの音楽のこととかをきいたりして、学校でも話すようになりました。ちなみに、野球のレベルは日本の方が断然上でした。

Q.3ヶ月の海外生活で、変わったことはありますか?

Yくん:3ヶ月ニュージーランドにいて、英語のレベルはかなり上がったと思います。ニュージーランドに行く飛行機の中で映画を観たのですが、その時は英語が理解できませんでした。帰りの飛行機で同じ映画を観ると、ちゃんと聞き取れて、理解できるようになっていました。

今も現地の友達とテレビ電話で話したり、先生に教えてもらった英語のアプリを入れて勉強したりして、英語を忘れないようにしています。ニュースでトランプ大統領が話している内容くらいはわかります。
それに、自ら話していかないと友達もできず、積極的に話をしていたからか、日本に帰ってきて「明るくなった」とみんなに言われます。

Q.研修に行って、英語の取り組み姿勢は変わりましたか?

Yくん:はい、変わりました。英語が好きになりました。以前は、勉強しても使う機会がないのに、何で英語を勉強するんだろうと思ったこともありました。でも、海外に行って、英語の必要性を強く感じました。現地で英語を使うことで「英語感」というのでしょうか、英語を使うことは身につきましたが、現地の英語は文法が間違っていることもあって…。戻ってきて、グラマーの授業で文法をきちんと学び、更にいい英語になったと思います。

Q.高校を卒業するとき、どうなっていたいですか?

Yくん:中学校に入る時から文武両道をしたいと思っていましたが、まだ確立できていないと思っています。残りの2年間で野球も勉強も頑張り文武両道を確立したいです。

<取材を終えて>
帰国生と一般生のバランスがうまくとれているからこそ、お互いがお互いを高め合う化学反応が起きているのだろう。また、学校の柔軟できめ細かな対応が、帰国生や家族の安心感にもつながっている。日本と海外の文化が交わる学び舎で6年間過ごす彼らは、人種や文化の壁はないのかもしれない。みんなが地球人。大志を抱く少年たちの将来が楽しみだ。

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