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目黒日本大学中学校

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スクール特集(目黒日本大学中学校の特色のある教育 #2)

新校長が語る「教育の展望と育てたい生徒像」

2019年、日本大学の準付属校として生まれ変わった目黒日本大学中学校・高等学校。4年目を迎え、これからの教育の展望について、新校長の南尊雄先生にインタビューを行った。

個々に応じたオーダーメイド教育を目指す

昨年秋、校長に就任した南尊雄先生は、日本大学の付属校である日本大学習志野高等学校(千葉)、日本大学明誠高等学校(山梨)、日本大学東北高等学校(福島)では校長を務めた後、同校に着任した。

▶︎校長 南尊雄先生

――初めに、南校長先生が大切にしている教育観についてお聞かせください。

学校には数多くの生徒がいますが、私は個々に応じたオーダーメイドの教育をすることが重要だと考えています。学習をテキスト通りに教えるのは、塾や予備校でも可能です。しかし学校は、授業の中で、ホームルームで、今そこにいる生徒を見て指導することがたくさんあります。クラスに35人の生徒がいたら、35分の1の対応ではなく一人ひとりに100%の気持ちで向き合うことが大切です。

私は日大習志野高校に赴任しているときに、カウンセラーをしていました。きっかけは、生徒の行いに対して真剣に諭していたことが実は伝わっていなかった、指導になっていなかったという経験です。要するに、自分は生徒からの信頼を得ていなかったのです。
カウンセリングの基本として、受容・共感・自己一致というのがあります。生徒の話をよく聞いてきちんと受け止め、生徒と自分の思いを一致させることで信頼関係を築いていく。それがあって初めて指導が伝わります。カウンセリングを始めたことが、オーダーメイド教育の原点となりました。

問題解決力・進路実現力、相互理解力を育てる

――目黒日大では、「問題解決力」「進路実現力」「相互理解力」の3つの能力をバランスよく育成することを教育目標に掲げている。1つめの「問題解決力」を養う取り組みを教えてください。

日本の教員の傾向として言われるのは、ティーチングは一流だけれどもラーニングを教えるのは、まだ発展途上だということです。先生たちは授業や補習などで熱心に教えているのに、受け手の生徒が“乗ってこない”というケースも多くありますね。生徒たちが学力を付けるために必要なのは、自ら進んで学ぼうという姿勢です。
そのためには、生徒の興味関心を引き出したり、疑問を投げかけたりするような授業を組み立てることが大切です。「なぜ?」「もっと知りたい」という疑問や探究心をもつことで、課題や問題も見えてきます。
問題解決力を養っていくには、まずは自分で問題を発見し、そのことについて考え、周囲とも意見を交換しながら答えを導いていく。そのプロセスを繰り返すことです。既に本校でも、グループワークやプレゼンテーションを取り入れた探究学習を実践していますが、今後はさらに充実させていきます。

――進路実現力はどうですか?

中学は基礎学力を身に付ける期間、高校は自分探しの3年間だと考えています。進路を実現するには、偏差値を見て行けそうな学校を選ぶのではなく「私は○○大学の△△学部で学んでいる」「将来はこうなりたい」というイメージをもって対策をすることが大事です。その部分をおろそかにしてしまうと、社会人になった時にミスマッチをしかねません。
本年度から高校では、自分探しの一環として「リアルドラゴン桜プロジェクト*」というプログラムを導入します。月に1回東大生に来てもらい「何のために勉強をするのか」「自分は何に向いているのか」といったテーマでグループワークをします。自分の目指す未来が明確になれば、そこからさかのぼってやるべきことのスケジュールを立てることができます。受験に対するモチベーションも上がりますね。

中学は自分探しの準備段階として、高校につながる学力と学習習慣の定着を図ります。具体的には、学習支援センターの取り組みを整備し、日々の授業と合わせて、学校内で学習を完結できる仕組みを作っていきます。放課後、生徒たちが学習支援センターで勉強をする際も「この単元をもっと極めよう」「苦手なところを克服しよう」と主体的に活用するように促していきます。

*リアルドラゴン桜プロジェクト…スタディサプリ、マンガ「ドラゴン桜」と株式会社コルク・カルペディエムチームが連携して、生徒と学校の「目指す未来」の実現を目指すプロジェクト

――相互理解力について、どうお考えですか?

今は、メールなどでコミュニケーションがとれる時代ですが、やはり対面で話を聞き、やり取りをすることが大事なのは変わりません。本校は、生徒会や部活動、学校行事などに力を入れています。様々な活動を通じてコミュニケーション力や協働性、また相手を思いやる心などを身に付けてほしいですね。
また、十人十色という言葉があるように、人それぞれに個性があります。その意識をもって相手に接することが、相互理解力につながると考えています。

将来の姿をイメージして、今を前向きに生きる

――この4月、目黒日本大学中学校に変わってからの入学生が全学年でそろいました。改めて生徒に望むこと、これからの教育の展望について教えてください。

私の決意としては、43年間の教員生活で培った経験をこの目黒日大で発揮したいと考えています。中高時代というのは、社会の一員となって活躍するための土台を築く時期です。一人ひとりがダイヤの原石であるお子さんを預かり、6年かけて磨き、お返しをする。そのような心構えで教育に取り組んでいきます。

それから、生徒たちにはぜひ知ってもらいたいことがあります。それは「時間は未来から過去へ流れる」ということです。つまり、今の自分の姿は過去の積み重ねではなく、将来なりたいと思う姿です。1年生であれば、入学時の姿というのは小学校を卒業した姿ではなく、3年後に何をすべきか考えてそこに向かっている姿なのです。
話は変わりますが、竹には節があります。その理由は解明されていませんが、節があることでどんな強風にさらされても倒れないそうです。そして、節があるから上へ上へと伸びていくことができます。人間にとっても、人生の中でいくつかの節目があります。そこでリセットをすることも可能です。ですので、過去にとらわれず、中学、高校という節目節目で新たな目標に向かって頑張ってほしいと思います。

目黒日大の生徒たちは、明るく純粋で、やるべきことをきちんとやれる子がそろっています。ポテンシャルが高いので、今度は自分からやるべきことを見つけ、挑戦していけば、さらにパワーアップしていくことでしょう。

最後に本校が目指す教育を実現するには、保護者との連携が不可欠です。学校と家庭の2本のレールで、子どもたちの成長を支えていきたいと考えています。

<取材を終えて>
今回は、南校長先生の教育観が伝わるインタビューとなった。印象に残ったのは、生徒一人ひとりを丁寧に育てていこうという思いだ。しかし、学校が手取り足取り指導するのではなく、生徒の自主性を伸ばすことが大事であると、明確に語っていた。また、「時間は未来から過去へ流れている。だから今を生きるのは、過去は関係なく、未来を見据えていこう」という考え方が、ポジティブで素敵だと感じた。

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