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スクール特集(目黒日本大学中学校の特色のある教育 #4)

目標は国公立大! 入試に込めた「育てたい生徒像」

2019年、日大の準付属校としてスタートを切った目黒日本大学中学校。2022年度の入試を振り返り、受験生の傾向や育てたい生徒像について取材した。

2019年に、日本大学準付属校としてスタートを切った目黒日本大学中学校。年々人気が高まっており、出願者数・受験者数ともに増加し続けている。2022年度入試の振り返りと入試に込めた思いなどについて、広報部主任の天野正貴先生に話を聞いた。

中高一貫は付属のメリットも活かして国公立大を目指すクラス

今年度、同校に入学した中1の生徒は、目黒日大としての4期生であり、1期生は高校1年生になった。受験者数(志願者数)は年々増加し、1期生290名(677名)、2期生313名(797名)、3期生476名(1028名)、4期生519名(1168名)。合否は点数の高い順に決めており、男女別の枠は設けていないという。

「受験生の層が変わってきたこともあり、全体がレベルアップしています。説明会などで保護者から、年々合格するのが難しくなっているという声も聞かれるようになりました。併願のパターンも変わってきていて、MARCHの付属校など、本校より上のゾーンを第一志望としている受験生の併願が増えています。しかし本校としては、志願者数が増えてもクラス数を増やすつもりはありません。生徒一人ひとりを丁寧にみていきたいという思いがあるので、3クラスを維持していきます」(天野先生)

▶︎ 広報部主任 天野正貴先生

同校では高校入試も行っているが、中高一貫6年間(中入生)の教育と高校3年間(高入生)の教育は、目指す進路を明確に分けていると、天野先生は説明する。

「高入生は、日大への進学に特化したカリキュラムで学びます。一方、中入生は国公立大を目指すカリキュラムです。中入生はスタート段階から志を高く設定し、最初から日大を目指すというカリキュラムではありません。しかし、準付属校としてのメリットを最大限に活かして国公立大を目指すことができます。日大への内部進学に必要な基礎学力到達度テストの得点による選抜で、国公立大学に不合格だった場合には、推薦された日大の学部に進学することが可能です。しっかりと授業についてくれば、医学部もある総合大学の日大へ進学できるという安心感の中で、国公立大にチャレンジできます。一方で、最初から日大を目指すのであれば、高校からの入学でも充分間に合うカリキュラムを用意しているので、中高一貫教育と高校は明確に目的を分けています」(天野先生)

どのような大学入試にも対応できる力を育む

中学から入学した生徒は国公立大を目標としているが、準付属校として日大とのつながりを徹底的に活かせる学校でもあると、天野先生は語る。

「例えば、中学生のうちから芸術学部や生物資源科学部を見学したり、9月には松戸歯学部へのキャンパスツアーを保護者も一緒に実施する予定です。中1も6月に、文理学部桜上水キャンパスを見学しました。中1から大学の特徴などを知る機会を得られるのは、付属校ならではの強みだと思います。6月に実施した文化祭では、理工学部の教授が基調講演を行いました。今後はさらに、高大連携を進めていきたいです」(天野先生)

2023年度入試から私大入学定員の管理基準を緩和する方針が文部科学省から発表されるなど、大学入試は先行きが不透明な時代となった。中入生は国公立大を目指すコースではあるが、日大への進学、学校推薦型選抜や総合型選抜で他の私大への進学を選ぶこともできるので安心してほしいと、天野先生は説明する。

「小6で中学受験をすると、6年後に大学受験がどのように変わるかまでは、なかなかイメージできないので不安もあるでしょう。入学時の目標は国公立大ですが、6年間過ごす中で大学入試制度が変わったり、本人の希望が変わることもあると思います。そのような場合、日大へ内部進学する権利を持った状態で国公立大を目指すほか、学校推薦型選抜や総合型選抜で私立大を目指す道を選ぶことも可能です。その選択をしたとしても、本校では探究活動に力を入れているので、調べて学んでまとめたことを、友達と協力して人前で発表する機会もたくさんあります。問題解決に向けた改善策のプレゼンなども、中1からずっと訓練しています。ですから、推薦や総合型選抜でプレゼンが必要になっても、充分に力を発揮することができるでしょう。中3の9月頃から、高校の内容へと進む先取り学習もしています。高校3年次1学期の早い段階で、高校の履修範囲を終わらせるシラバスになっているので、早くから共通テストや2次試験も視野に入れた演習中心の授業を行うことができます。大学入試がどのような形になろうとも、対応できるように育てていくので安心していただきたいです」(天野先生)

新しいことも準付属ならスピーディーに実現可能

今年度から授業時間を5分減らして45分にし、授業のコマ数を平日は7コマ、土曜日を4コマに増やした。

「平日と土曜日を合わせて授業時間は1755分になるので、公立や他の私立中学校と比較しても多くなっています。数学は公立だと週3~4コマですが、本校では週5コマにして、そのうち1コマは演習です。演習では、通常の授業で扱うより難易度の高い問題に取り組むことができます。この案が出たのは昨年ですが、今年度にはもう実行に移すことができました。これは、準付属だからこそできることです。準付属の場合は、運営する学校法人が大学とは別なので、スピーディーに実現できるのです。5分減らした分、授業の最初に行う『起立、気をつけ、礼』という流れをやめて、座礼にするなど、45分を無駄にしないように工夫しています」(天野先生)

今年度入学した4期生は、入学してすぐに行われたオリエンテーション合宿から、「すごい学年になりそうだ」と感じたと、天野先生は振り返る。

「共同生活をする上で大切なことや、共有スペースの使い方などがすでにしっかりとできていました。例えば、教員が何も言わなくても風呂場の桶や椅子を並べたり、次の人のために何をやればいいか自分たちで考えて動けるのです。6月に実施した文化祭の企画や準備も、教員があれこれ言わなくても自分たちで考えて動けていました。800人規模で開催した学校説明会は、中1が司会やプレゼンを行っています。プレゼンのテーマを伝えたら、翌日には原稿を考えてきて、スライドまで出来ていました。当日も原稿を置いて見てもいいと言ったのですが、見ないで頑張っていたのです。目黒日大としてスタートしてから、確実に学校全体がよい形に変わってきています」(天野先生)

入試は「育てたい生徒像」にマッチしていることが重要

同校では、「2教科型入試」「4教科型入試」「適性検査型入試」、そして2020年度に導入した「算理入試」を実施している。入試には、どのような生徒に入ってきてほしいかという学校側のメッセージが込められていると、天野先生は語る。

「2022年度から、2月1日の午前は4教科型入試のみにしました。理由は、中高一貫クラスは基本的に国公立型の演習カリキュラムを組んでいるので、入口の受験でも理・社を含めて判定していきたいと考えたからです。目黒日大に入れればゴールというイメージを持たずに、国公立大の受験を見据えて、国語と算数だけでなく、理科と社会もしっかりと満遍なく勉強してきた子に入学してほしいと思っています」(天野先生)

その一方で、中3の学力トップ層を見ると、「算理入試」と「適性検査型入試」で入学した生徒たちが上位にいることにも注目しているという。

「適性検査型では、都立桜修館の併願校として受験するケースが多いですが、入学後の学力を見ると、やはり文章読解、論述、記述などがしっかりとできていますし、教科型の勉強もしっかりやっていたことが感じ取れます。都立の中高一貫校では、三鷹、富士、両国、小石川との併願校としても選ばれるようになりました。この2つの入試から、受験生の層が変わってきていることを実感しています。当初は、2月1日の午後は受験しやすいように算数1科入試を実施していました。しかし、より理系に強い生徒に入ってきてほしいという思いがあったので、算数1科をさらに深化させて、理科の設問で算数力を問う算理入試に切り替えました。これは、本校が行っている教科横断のカリキュラムにもつながる入試です。算理入試で入学してきた生徒たちからは、『あの入試問題は面白かった』という声が聞かれます。入試とカリキュラムは切り離したものにしたくないので、よい形ですべてがつながってきたことが実感できています」(天野先生)

入試は、どのような生徒を育てたいか、学校として目指すものをベースに考えなければ、学校に入るための手段で終わってしまうと、天野先生は語る。

「入試は、育てたい生徒像にマッチしていることが重要です。入るための手段で終わらせないために、現在、学校ルーブリック(評価表)を作成しています。建学の精神や卒業時のあるべき姿などを、きちんと見える形に整えているところです。これまでは、キャッチフレーズ的なところでぼんやりさせてきた部分もあるので、受け入れた後、出口ではどのような人材になってほしいか、社会に出たときにどのような人材になっていてほしいかなどを、今年度末にはホームページに提示できる予定です。今後どのような社会になっても、本校で6年間学んで自分の存在価値を見出し、その答えを持って大学へ進学してほしいという思いで作っているので、期待していただきたいです」(天野先生)

<取材を終えて>
大学入試改革は非常に不透明であり、6年後にどうなっているかわからない。そのような中で、国公立大を目指しながらも、高3の時点で日大への内部進学や他の私大を推薦や総合型選抜で受験する道を選ぶこともできるというのは、大きな安心材料となる。そして、それまでの授業や講習を受けていれば、どの道を選んでも対応できる力が育めるようなカリキュラムが組まれていることにも注目していただきたい。

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