• HOME
  • 学校検索
  • スタディチャンネル
  • 特集
  • 説明会・イベントカレンダー
  • 入試カレンダー
  • 中学受験情報局
  • スタディパス

細田学園中学校
スペシャルレポート<第4回>

開校2年目で入学者が大幅増
2期生が語る学園の魅力

2019年4月に開校した細田学園中学校。今年度は入学者が大幅に増加し、前年度比161%となった。学期末の面談では、ほぼすべての生徒が「楽しい」と答え、保護者の満足度も高かったという。生徒たちがどのような学校生活を送っているか、2期生のインタビューも交えてレポートする。

1/3

目標を可視化することの重要性

今年度の入学者は前年度比161%の46人と大幅に増加。首都圏では、最も入学者が増えた学校のうちの1つとなった。副理事長の持田直人氏に、同校の入試で評価している力、そしてなぜその力が重要なのか、同校が目指す教育について聞いた。

合否をわける力は「表現力」

2期生46人の半数近くが、都内から通学している。最寄り駅となっている志木駅には、東京メトロ有楽町線や副都心線(東急東横線とも接続)も乗り入れており、都内在住者からの関心も高い。今年は新型コロナウイルスの影響もある中、説明会の参加希望者は昨年の2倍近いという。募集人数にとらわれず厳密な採点で合否を出す同校に、保護者からは「もっと多く合格者をだしてほしい」という声も多い。しかし、今年度もその方針は変わらないと持田氏は語る。同校の入試では、どのような力が合否をわけているのだろうか。

持田直人副理事長

「将来、どんな職業に就くかということに関しては、正解がありません。そのような中で自分が幸せだと感じるためには、目標を決め、自分が何をやりたいか、きちんと表現できることが大切だと思います。目標を設定するということは、自分のやりたいことを言語化して可視化するということです。それができないとモヤモヤした状態のままで、努力することもできません。可視化するためには表現力と思考力が必要になりますが、思考力は受験時にはそれほどなくてもいいと考えています。入学後、本校で過ごす6年間で培っていけばいいのです。本校の入試では、自分が思ったことがしっかりと表現できているか、という点をみています」

同校の入試では、算数を除く教科で、自分の考えを記述する問題を入れている。正解のない問いに対して、自分の気持ちや考えを表現することができているかを評価する。

「過去の入試問題は2年分あるので、その記述式問題を練習して、問いについてぜひ家族で話し合ってみてください。例えば、『あなたにとって幸せとはどういうものですか?』という問いがあったとします。幸せの定義や価値観は人によって様々です。お父さん、お母さん、兄弟姉妹など、それぞれにとっての幸せがあるでしょう。その上で、自分にとっての幸せとは何か考えてみて、なぜそれを幸せと考えるのかを自由に書いてみるのです。入試では、それが6年生レベルの言語能力で表現できているかをみます」

やりたいことを見つける6年間

やりたいことを見つけるためには、表現力、思考力、最低限の学力、そしてdots【原体験】*が必要だと持田氏は語る。

*dots【原体験】とは、その人の考え方や生き方を形づくる経験を指す。

「自分が幸せだと感じるためには、自分が何をやりたいのかを理解する必要があるので、言語化して可視化することが重要です。ソフトバンクの孫正義氏は、『自分の登るべき山を決めたら、自分の人生の半分は決まる』という例えで、ビジョンの大切さを説明しています。しかし日本人の多くは、登る山を自分で決めていません。なぜなら、登る山を決める練習をする機会がないからです。多くの場合、『学校で1番をとりなさい』『偏差値の高い学校へ行きなさい』などと、登る山を決められています。本校ではdots【原体験】を通して、登る山を自分で決める練習を重ねていきます。そして卒業するころには、なりたいものが見つかっているでしょう。たとえ見つかっていなくても、何に悩んで、その中でどの大学、学部、進路を選んだか、自分自身に説明できる状態にはなっているはずです」

開校して2年目の1学期を終えたが、多くの生徒が好きなことを見つけて動き始めているという。プログラミングが好きな子はアプリを作ったり、将棋を頑張っている子が奨励会に入ったり、数検を受けると決めた2年生の生徒が高校数学の勉強をしているなど、それぞれの「登る山」を見つけ始めている。やりたいことを見つけた生徒を教員たちがサポートすれば、ぐんぐん伸びる時期だと、持田氏は説明する。

「やりたいことをやっても、難関大学に行けないことはありません。好きなことをやったら合格できないという"or条件"ではなく、好きなことを思いっきりやったから合格できるという "and条件"で考えた方がよいのです。好きなことをやったら、一時的に学習時間の確保が難しくなることもあるかもしれません。しかし、社会に出た後まで長期的に見たら、プラスになる面がたくさんあると思います。本校では、やりたいことを見つける6年間であり、やりたいことをするために行く大学を決め、そこに向けて勉強するのです。生徒たちは、自分がやりたいことならどんどんやるので、教員がそれをポジティブに支えていきます。教員たちも頑張っていますし、日本一よい学校に近づいてきていると思います。1学期を過ごした2期生やその保護者の方たちからも、面談の際には本校に入ってよかったと皆さんから言ってもらえました」

「継続は力なり」が基本

新型コロナウイルスの影響で一斉休校になったことで、生徒たちの学校に対する考えが変わってきたという。

「子どもたちにとって学校は、空気と同じぐらい当たり前のものでした。反抗期の子どもにとって、一番身近な存在である学校がしばしば軽んじられることもありました。しかし、新型コロナウィルスの影響で学校に行けなくなり、“空気がない”状態を経験したのです。空気がなくなって初めて、子どもたちは、学校に行けないことがどれだけ苦しいか、先生たちがどれだけ頑張ってくれていたか、学校がどれだけ大切だったかということに気づきました。そして、みんなに会いたい、先生に会いたい、みんなと勉強したいと強く思うようになったのです。保護者の方たちにとっても、学校教育の価値を再認識する機会になったと思います」

細田学園中学校を新設して2019年度から中高一貫教育を導入したが、母体となる細田学園高等学校は1921年に開校。2021年の創立100周年に向けて学習環境のさらなる整備を図るため、約800人収容のホールを備えた校舎の増設工事も進めている。「愛と奉仕」という建学の精神を守りながら歴史を積み重ねていく一方、新たに導入した中高一貫教育は2年目を迎えた。今後の方向性について、持田氏はどのように考えているのだろうか。

「『継続は力なり』が基本だと考えています。今やっていることを継続して、年輪を重ねて厚みを出すように日々努力するだけです。100年の間受け継いで培ってきたものには、積み重ねないと得られない価値があります。これからも建学の精神を守り続けて、次の100年に向けて頑張っていきたいです。今の雰囲気を変えずに生徒を増やしていき、『いい学校だね』と皆さんに言ってもらえる学校を創っていきたいと思っています」

2/3

1期生と2期生、それぞれの成長

同校では、日常生活で身につけるべき5つの重点を「LPPICS」*と表し、dots【原体験】を重ねながら「人間力」を育む。小泉徹先生(中2担任)と富樫航先生(中1担任)に、授業や学校生活の中で感じられる生徒たちの成長ぶりなどについて聞いた。

*「LPPICS」とは、建学の精神「愛と奉仕」(Love and service)、心身ともに健康な生活習慣(Practice)、前向きかつ自発的な行動(Positivity/Independence)、チャレンジする姿勢(Challenge)、そして感謝と反省(Self‐reflection)を表す。

後輩ができたことによる1期生(中2)の成長

2年生となった1期生は、同校で1年間過ごし、さらに新入生が入ってきたことにより、どのような変化が見られたのだろうか。「接する人数が増えれば、得るものも変わり、多様な考え方ができるようになる」と、小泉先生は語る。

「例えば、建学の精神である『愛と奉仕』については、かなり成長していると感じられます。後輩が入ってきて、これまで見えなかった部分が見えてきたということもありますが、優しい子が増えました。廊下やラウンジで後輩が困っていたら、最初は声をかけられなかった子も、1学期が終わるころには声をかけられるようになっていました」

中学生で「やりたいこと」を見つけるのは、難しいのではないだろうか。
「やりたいこと」を見つけるためには、「チャレンジ」が重要な役割を果たしていると、小泉先生は説明する。

小泉徹先生

「dots【原体験】を重ねて、生徒たちは様々なことにチャレンジしています。中には、嫌なことや苦しいと感じることもあるかもしれませんが、とにかくやってみるのです。好きなことと嫌いなことは表裏の関係にあるので、嫌いなものが見つかることが好きなことを見つけることにもつながります。体験することで、気づいていなかった好き嫌いに本人が気づくこともありますし、教員が接していく中で気づくこともあります。理科で虫取りをしたら、虫が嫌いだと思っていた子が、実は虫が好きだと気づいたり、数学が苦手な子が多面体パズルを使ったら、楽しいと気づいたり。やりたいことや好きなことが見つかると、学習意欲が変化していくのも面白いです。英検を受けると決めた2年生の生徒は、自分でどんどん高校レベルの勉強をしているなど、やりたいことや好きなことを見つけた子が、そこに向けて頑張っている姿が見られます」

そのような成長を感じられることが、教員たちのやりがいになっているという。また、保護者の理解や賛同も励みになっていると、小泉先生は語る。

歴史の授業。大仏の大きさを実感するため、新聞紙で大仏の手を作っている

「将来についてなど、子どもたちとよく話をしている家庭が多いように思います。保護者面談などで話をすると、保護者の皆さんが本校の教育内容をしっかりと理解して、賛同してくれているのでありがたいです。これからも、成長段階に応じて、生徒一人ひとりのよいところを伸ばして、社会で活躍できる、好きな分野で活躍できる人材を育てていきたいと思っています。前向きにチャレンジしていける生徒と6年間過ごして、一緒に成長していきたいです」

毎日小さな成長が感じられる2期生(中1)

4月に入学したばかりの1年生には、まず目標設定の話や「善い人間になる」という話をする。すでにやりたいことが決まっている生徒が思っていたよりも多いと、富樫先生は語る。

「入学してすぐに、目標を立てて、それを達成するためにどう行動するかを考える機会を作っています。コンピュータ関係、考古学者、国際関係の仕事など、なりたい職業が決まっている子もいますが、やりたいことが不明確な子もいます。どんな仕事に就いたとしても、成功するには『善い人間であること』が大切であり、そのためによい習慣を身につける必要があることを説明すると、納得した様子を見せてくれました。」

「習慣づける」ということについては、忘れ物が多い子の成長が印象的だったと、富樫先生は振り返る。

富樫航先生

「本校は給食ではないので、お弁当を持参するかスクールランチを注文します。スクールランチは、朝のうちに食券を買わなければならないのですが、何度も忘れてしまう子がいました。忘れないためにどうすればいいか考えさせると、『ノートにメモします』と言って実行し、次の日から忘れなくなりました。しかし、1週間するとまた忘れるようになってしまったので(笑)、再度問いかけると『学校に来るのがギリギリになるから忘れるので、早めに準備して余裕を持って登校します』と言って、改善されました。自分で考え、決定させることを意識して指導する中で、少しずつ成長していると感じられることが、教師としてのやりがいにつながっています」

生徒との個人面談や保護者との2者面談では、全員が「楽しい」と言っていたという。具体的には、どんなことが楽しいのだろうか。

「『何が楽しいの?』と聞いても、みんな『なんか楽しい』と答えます(笑)。チャレンジする場や自分で考える場、協力して何かを成し遂げる場を多く設定していることが楽しさにつながっているのかもしれません。オープンスクールの手伝いも、希望者を募ったらほとんどの生徒が手伝いたいと言ってくれました。これもチャレンジの1つだと思います。『学校が楽しい』『小学校のときは思わなかったのに、早く夏休みが終わってほしい』などの声を聞くと、生徒たちがそのように感じてくれていることが本当に嬉しいです」

学校説明会では生徒たちがミニキャンパスツアーを実施

3/3

2期生5人にインタビュー

今年の新入生たちは、どのような学校生活を送っているのだろうか。2期生5人に、授業や部活動について聞いた。

―― この学校を志望した理由は?

<Fくん> 第1志望は別の学校だったのですが、説明会に来て、先輩たちが優しくて笑顔だったので、細田学園は明るくていいなと思いました。

Fくん

<Tさん> ホームページを見たり説明会で話を聞いたりして、細田学園はグループワークや発表する機会が多いと知りました。私は人前で発表するのが好きなので、細田学園なら自分の意見を発表する力を伸ばせると思ったので受験しました。

Tさん

<Sくん> 塾の先生に勧められて細田学園を知りました。サッカーをやっていたので、サッカー部もあるから続けられるし、よさそうな学校だと思いました。

Sくん

<Mさん> 私はあまり勉強が好きではないので、細田学園は勉強だけではなく、部活や勉強以外の経験がたくさんできるというのがよかったです。学校のTwitterを見て、先輩たちが明るくて楽しそうだったのもいいなと思いました。

Mさん

<Kくん> オープンスクールに来て、先輩が優しくていい雰囲気の学校だったので受験しました。

Kくん

―― 受験までにどのような対策をしましたか?

<Fくん> 説明会で過去問を買って、それを何回も繰り返して覚えるぐらいまでやりました。
<Tさん> 特別なことはしていませんが、過去問をたくさん解きました。
<Sくん> 塾の先生からアドバイスをもらいながら、過去問を解きました。
<Mさん> 第1志望校が適性検査型の試験だったので、細田学園のdots入試と似ていて、そちらの対策をやっていました。
<Kくん> 細田学園は、記述式で自分の考えを書く問題が多いと聞いたので、過去問や記述式のワークで練習しました。

―― 1学期に受けた中で、楽しかった授業を教えてください。

<Fくん> 数学の授業で、多面体パズルを使って立体を作るのが楽しいです。面の数を調べたりして、みんなで答えを出し合います。教科書などにある図を見て考えるより、自分で立体を作って考える方が面白いです。
<Tさん> 理科の授業で、理科に関係ある内容の本を1冊自分で選び、それをほかの人に紹介するスライドを作ってビブリオバトルをしたのが楽しかったです。いろいろな意見が聞けて、様々な視点で考えることができるようになりました。
<Sくん> 英語の授業で、単語をゲーム感覚で覚えるのが面白かったです。グループで話し合って答えを導き出すのが楽しくて、単語も覚えられるのでいいなと思います。
<Mさん> 「Subject Week」*で「花火」をテーマにいろいろな教科の勉強をしたことが楽しかったです。数学では花火の打ち上げに関する距離や時間を計算したり、社会では花火大会で有名な地名を調べたりして、いろんな視点から花火について考えられて、新しい見方をすることができました。
<Kくん> 国語で、宮沢賢治の『オツベルと象』のワンシーンについてグループで話し合い、パソコンでスライドにまとめて発表しました。みんなの意見から答えを導き出すのが楽しかったです。

*「Subject Week」(教科横断型の授業週間)は、学期に一度、設定したテーマに沿って全教科の授業が一斉に展開される企画。

多面体パズルで立体を考察

―― 部活動について教えてください。

<Fくん> 小学生のときからやっていたので、サッカー部に入りました。一生懸命練習して、3期生と一緒に試合に出て勝ちたいです。
<Tさん> チアリーディング部です。先輩たちが明るかったので、楽しめそうだと思って入りました。練習がたいへんなときもありますが、大会に向けてみんなと頑張れるので楽しいです。
<Sくん> サッカー部です。入学前から決めていました。僕も、もっとたくさん練習し、試合で活躍したいです。新入生には、サッカー部に入ってほしいです! みんなと一緒にサッカーを楽しみたいです。
<Mさん> チアリーディング部です。仲間と一緒に同じ目標に向かって頑張る部活動に入りたいと思っていたら、休み時間に勧誘に来た先輩たちが明るくて、楽しく頑張れそうだったので入部しました。10月に大会があるので、その大会に向けて頑張っています。自分が日々上達していっているのが目に見えてきて、とても楽しくて充実しています。
<Kくん> 小さいころからパソコンをいじるのが好きなので、パソコン部に入りました。今は、タイピングゲームをやっています。最初よりは速く打てるようになってきて、とても楽しいです。

―― オープンスクールでは何か手伝いましたか?

<Kくん> 「情報」の授業などで使うメディアルームの説明をしました。
<Mさん> ホールで行われた「人間力」の説明会で、先生の質問に答えながら授業や部活動について皆さんに話しました。
<Sくん> 僕も「人間力」の説明会を手伝いました。
<Tさん> 小学生が体験する英語の授業を手伝いました。わからない子のサポートなどをして楽しかったです。参加していた子たちが、入学してくれたらいいなと思います。
<Fくん> 参加者を会場に案内しました。「ありがとう」と言われて嬉しかったです。

―― 新しい学校なので、友達ができるかなどの不安はありましたか?

<Mさん> オリエンテーション合宿があるはずだったのに、新型コロナウィルスの影響でなくなってしまい、友達ができるか心配しましたが、すぐにみんなと仲良くなれました。
<Sくん> 2日ぐらいで仲良くなれました(笑)。

―― この学校のいいなと思うところを教えてください。

<Sくん> 先生たちが明るくて、休み時間などに気軽にいろいろと話しかけてくれます。こちらからも話しかけやすい雰囲気です。
<Tさん> 国語・数学・英語が習熟度別の授業なので、自分の理解度にあった授業が受けられるのがいいなと思います。
<Kくん> 交通の便がいいです。僕の家からは、バス1本で来られます(笑)。
<Mさん> 休み時間などに先生がラウンジにいるので、友達と勉強のことを話していてわからないことがあったら、すぐに聞きにいって解決できます。
<Fくん> 少人数制のHR、授業なので、先生が一人ひとりをしっかりと見てくれます。


取材を終えて

インタビューした1年生は、数か月前までは小学生だったとは思えないほど、しっかりといろいろな質問に答えてくれた。授業では、グループワークや教科横断型なども経験し、5人それぞれ違った「楽しいこと」と出会っていることが印象的だった。同校が様々な種類のdots【原体験】をたくさん用意し、いろいろなチャレンジをしているからこそ出会えるのだろう。彼らが話す言葉から、それらを本当に「楽しい!」と感じていることが伝わってきた。今年度は、10月31日(土)にもオープンスクールが開催される。ぜひ生徒たちの言葉や表情から、同校の楽しさや魅力を感じていただきたい。

細田学園中学校のオープンスクール

【 Back number 】細田学園中学校のスペシャルレポート<第3回>

所在地

〒353-0004
埼玉県志木市本町2-7-1

TEL 048-471-3255

マップ