私立中学

女子校

おばやしせいしんじょしがくいん

小林聖心女子学院中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(小林聖心女子学院中学校の特色のある教育 #5)

理系難関大学在学のOGに聞く、本質理解が“得意”を育む小林聖心の理系教育

伝統ある小林聖心女子学院では、実は理系大学へ進学する生徒も少なくない。今回は難関大学へ進学したOGにインタビューを行い、小林聖心らしい理系教育について紹介する。

近年、理系学部に進学する女子が増加傾向にある。伝統ある小林聖心女子学院でも、理系女子の存在感が光っている。今回は2020年春に国立・私立難関大学へ進学したOGにインタビューを行い、じっくり勉強と向き合える環境や、本質を理解することに重点を置く授業について、また学院生活の思い出について語ってもらった。

▶︎写真左より:A.Mさん、大塚彩貴さん、千代延祐希さん

【卒業生の紹介】
A.Mさん(以下Aさん)/東北大学工学部2年
大塚彩貴さん(以下大塚さん)/早稲田大学創造理工学部建築学科2年
千代延祐希さん(以下千代延さん)/神戸大学工学部応用化学科2年

小林聖心女子学院の雰囲気や思い出を教えてください。

大塚さん…人間関係のいざこざがほとんどなく、とても居心地がよかったです。友達は優しく、先生方も私をよく理解してくださいました。クラブ活動や体育祭などの行事で、一生懸命活動したことは、小林聖心でしかできない体験であり、いい思い出がいっぱいです。クラブはEDC(英語演劇部)に所属し、とくに熱心に活動しました。ひょっとすると今までの人生で一番がんばったことかもしれません。先輩や後輩との関わりも楽しかったですし、ミュージカル『アニー』で主役を演じたことも忘れられません。また最終学年では部長を務め、大人数のクラブをまとめたことも成長につながりました。

Aさん…深い友人関係を築ける学校でした。高校時代は宗教行事の計画と運営を担う典礼委員長を務めました。たくさんある行事の中で、とくに友人との関係性が深まったのは体育祭です。私は二人三脚に出場することが多かったのですが、朝、昼休み、放課後と、一緒に出場する仲間と練習に励みました。熱が入りすぎて意見のぶつかり合いもありましたが、一生懸命に練習したことは忘れられません。目標に向けて一丸となる経験を通して同じ競技のメンバーとは、より親しくなりました。卒業してからも、小林聖心時代の友人とは仲良くしています。些細なことで盛り上がったり、真剣な相談も気兼ねなくできたり、とても大切な存在です。

千代延さん…ほかの2人とも同じですが、やはり小林聖心は年間を通して行事が多く、行事ごとに、学年やクラス、クラブなどの仲間と共に、目標に向かって団結して進めていくため、達成感を感じられる機会がたくさんありました。自然と支え合い、助け合いながらがんばる雰囲気があり、その雰囲気がとても好きでしたね。

2人とは違って、私は中学校から小林聖心に入学しました。中学受験をしたきっかけは母からの勧めと学院祭です。学院祭の雰囲気がとてもよかったので受験しようと思ったのです。友達ができるかなとか、力を入れている英語教育にはついていけるかななど、最初は心配していましたが、先生も中学からの入学生のことはとても気にかけてくださったので、自然と友達もできましたし、英語は進度にあわせて教えてもらうことができ、補習もあったので苦労しませんでした。6年間を振り返ると、先生方はクラブ活動や勉強、進路のことなど、学校生活の様々な面において親身になってサポートしてくださいました。クラブではオーケストラ部に所属し、ファゴットを担当、高校では副部長を務めました。安心できる環境で、充実した生活を送ることができたと感じています。

小林聖心での学びや教えについてはいかがでしたか?

大塚さん…人それぞれの個性を大切にすることを学びました。小林聖心の生徒は、個性も特徴もさまざま。勉強が得意な人、楽器がとても上手な人、運動神経が抜群な人、アーティスティックな人、とてもまじめな人、マイペースな人…などなど。思い出せばキリがありませんが、先生方はどの生徒のことも理解してくださっていました。大学進学に関しても、進路はさまざまですが、どんな進路に対してもネガティブな口出しはありませんでした。そういった環境で育ったおかげで、どんな個性も尊重できるようになれたのではないかと思います。

千代延さん…小林聖心では学期末や行事後など「振り返り」を行う機会がたくさんありました。大学生になってからは、自分で機会を作らない限り、「振り返り」を行うことはありません。小林聖心の「振り返り」は良かった点、悪かった点を自分自身で客観的に見つめなおし、今後はどうあるべきか考える大切なことだと改めて思います。これからも日々の生活を振り返りながら過ごしたいと思います。

Aさん…私も小林聖心の教えでまず思い浮かぶのは「振り返り」です。行事ごとに「振り返り」の時間が設けられており、自分の行動を顧み反省し、良かった点を考える事の大切さを学びました。卒業生は誰しも同じように感じているのではないかと思います。

ご自身が理系へ進学したきっかけ、小林聖心の理系教育全体について教えてください。

Aさん…幼稚園の頃、博物館で見たロボットに非常に興味を持ちました。幼い頃から理科的なことが好きだったのですが、完全に心が決まったのは小学校高学年の時です。テレビである素材系メーカーの方が「自社製品の国内シェアが大きいため、街中で自社製品を多く見かける」と話されている姿を目にしました。その時、自分が研究開発に携わった商品が街中にある状況に憧れ、将来は素材の研究をしたいと思ったことが理系進学のきっかけとなりました。

小林聖心の理系授業で印象に残っているのは、高校の物理の実験です。物理の履修者が少なかったこともあって、先生がたくさんの実験をしてくださいました。波動の共鳴の分野では教科書や問題集だけではイメージがしづらく、きちんと理解できていなかったことを、実験を通して理解することができました。担当の物理の先生は生徒の自主性を尊重してくださる方だったので、実験の結果から、私たちが「追加で実験をしたい」と申し出た時には、実験時間の予定を延ばして対応し、実験の過程を見守ってくださいました。実験の機会を多く設けてくださったおかげで、自然科学への興味関心を失わずに受験勉強をしていくことができたと思っています。

大塚さん…小林聖心小学校時代、5年生の頃から理系に進もうと考えていました。きっかけは算数の授業で、問題に対する考え方を先生に褒めていただく機会があったことと、初めての算数の大きいテストで特に何もしないで臨んだのに100点が取れたことで、周りから褒められ「私、算数が得意なのかもしれない」と思ったことなど、今振り返ると単純なきっかけです。しかし単純ながらも、褒められた結果、算数がどんどん好きになっていったのでよかったと思います。

ちなみに、理科はテストの点があまり良くなかったこともあり、小学校の時は好きではありませんでした。中学、高校と進むにつれ、原理を学ぶことができるようになり、楽しくなって、好きになりました。私はやはり褒められて伸びるタイプなので、ちょっと難しい応用問題や時間をかけてやってみようという問題が出たときに、みんなよりも早く解けた瞬間が一番楽しかったです。また、物理の授業は少人数でとにかく実験が多く、どれも楽しかったため、印象に残っています。例えば『ぜったい焦げないパンケーキ』の実験では、牛乳パックに金属板と材料を入れて電流を流すことで、ぜったい焦げないパンケーキができるのですが、原理を学ぶことができて非常に印象に残っています。

千代延さん…理系進学を決めたのは、高1の秋です。理系科目の応用的な内容を学んでみたいと思ったので、理系進学を決めました。私の場合、特に大きなきっかけがあったわけではなく、当時は学びたい分野も定まっていませんでした。

小林聖心の理系科目の授業では、得られた知識を丸暗記するのではなく、小林聖心では「『なぜそうなるのか』という過程の理解を大切にするように」と教わりました。授業では実生活に即した実験が多く、生活のなかにある現象に発見があったことは楽しかったです。また問題を解けた人が解説して、それをまたほかの人が解説して理解を深める授業も印象に残っています。私自身、暗記に頼ってしまい、成績が伸び悩んだこともありましたが、こういった本質を大切にする授業のおかげで、自分で勉強する時も「なぜそうなるのか」と考えながら積み重ねたことで、段々と勉強が楽しくなっていきました。今の大学の勉強においてもその姿勢を忘れないようにしています。

数学の授業で熱中した取り組みや、印象に残っている授業について教えてください

千代延さん…高校時代の数学Ⅲの授業は特に印象に残っています。「なぜそうなるのか」ということを考えながら数学の問題に取り組むことの重要性を学びました。授業では、ただ教科書に書いてある内容だけを淡々と理解していくだけでなく、教科担当の先生はその記述にはどのような意味が隠されているのかということもお話して下さり、受験勉強を進める上でもとても役立ちました。また、先生が積分の計算問題を練習するためにオリジナル問題集を作って配布して下さったのですが、そこには、それぞれの問題にはどんな意図があり、どのように思考を進めていくことで答えを導くのか解説されていて、市販の問題集よりもとても詳しいものでした。そのオリジナル問題集をくり返し解くことで、計算力において自信をつけることができ、問題が解けるようになっていくことが楽しく感じられるようになりました。

Aさん…一番印象に残っている授業は、高2の数学Bの1回目です。この授業の中で先生が「教科書にすべてが書いてある」と仰ったのが、当時の私にとって衝撃的でした。それまでの私は教科書は重視せず、問題集を何回か解いて解法を暗記する「暗記数学」をしていたからです。この授業を受けて半信半疑で教科書メインで本質理解を意識した勉強を始めたのですが、だんだん先生の仰ったとおりであると実感するようになりました。この教科書を重視する学習法を他の教科にも応用し、苦手だった物理が理系科目の中で一番得意になるなど、数学Bの第1回の授業で私の学習が大きく変わったと思います。

大学入試の時、緊張のあまり頭が真っ白になってしまい、最短の解答を書くことはできなかったのですが、それでも別の方法で必要な証明方法が分かっていたので、回り道にはなりましたが、無事解答することができました。暗記数学ではない、本質理解を積み重ねていたおかげだと思います。

大塚さん…4-4-4制Stage3最後の高2、高3でお世話になった宇津野先生の数B、数Ⅲの授業が特に印象的です。2人が答えているのも宇津野先生による数学の授業ですが、毎回、興味深い話をしてくださる“神”授業でした。たとえばグラフの形だけが与えられていて、そこから式を考えるという問題があったのですが、とてもおもしろかったです。記憶に残っている授業や問題は枚挙にいとまがないですが、このグラフの授業はとくに印象深かったです。塾でも数学の授業を受けましたが、あまり楽しくなくて、集中力が続かないことも多かったのですが、小林聖心の数学は本当におもしろかったです。

▶︎千代延さん

▶︎Aさん

▶︎大塚さん

これから中学受験にチャレンジする理系が好きな小学生、またその保護者の方に、小林聖心女子学院をおすすめするポイントを教えてください。

千代延さん…小林聖心では、理系に進学する生徒の割合は高くはないですが、その分、少人数制で、先生方も生徒一人ひとりに対して親身になって勉強を見てくださいます。また、勉強で分からない所があったときは、よく友達とみんなで考え、教え合ったりしていました。小林聖心の少人数制であるからこそ、充実した学びができたのではないかと思います。

Aさん…おすすめするポイントは先生方との距離が近い点です。理系進学希望の生徒が文系と比べて少ないこともあって、より個人に合った指導をしてくださっていたように感じます。私はAO入試を受験したのですが、その際には理系の先生方には過去問対策や受験後の答案確認でお世話になりました。

大塚さん…小林聖心は理系進学者の割合から見てもわかる通り、数学や理科が苦手な生徒が多い現状であるのは事実だと思います。しかし、だからこそ、理系が少しでも得意であれば、小林聖心は理系科目を伸ばすのにうってつけの環境と言えます。というのも、その算数が少し得意という小さな長所が大きく光るからです。私は大学に入り、小林聖心では出会ったことがないくらい数学や理科がハイレベルでできる人たちと関わるようになりました。彼らの高校時代の話を聞くと、私は小林聖心でなければあんなに理系科目を頑張っていなかったはずですし、ここにはいなかったはずです。当時、周りに理系科目の天才ばかりだったら、自分は理系はできない、向いていないと思ったでしょう。また普通は思いつかないような解き方ができたとしても、周りも当たり前のように同じやり方で解けていると思うので、算数の楽しさに気付いていなかったと思います。なので、小学校で算数が楽しいと思う女の子には、小林聖心をおすすめします。

また小林聖心は、女子校で理系科目が苦手な人が多いからと言って、授業が簡単なわけではまったくありません。これは断言します。数学は分かりやすく、基本をきっちり教えてくださるし、右から左に流れる授業ではなく、頭に残る楽しい授業をしてくださいます。理科(物理、化学)もたとえ話を交えて分かりやすく教えてくださったおかげで、入試問題手前レベルまでは苦労したことはありませんでした。また、どの授業でも自分で考える時間をちゃんと下さいます。これは小林聖心で理系を選択して学んだOGなら、同じ感想だと思います。理系へ進学する女子が少ないからこそ、理系女子にとっての成功体験になる環境であるといえます。だからこそ今、小学校で算数がちょっとでも好きであれば、ぜひ小林聖心で学んでください。

今後の目標、将来の夢を教えてください。

大塚さん…現在、建築学科で学んでいますが、将来についてははっきりしていません。設計課題などで作品を頻繁に提出するのですが、同級生の作品はすごいものばかりで、アイデアも突飛です。そういった周りを見ていると自分は大丈夫か、建築家がふさわしいのかと不安に感じる時もあるからです。とはいえ、課題さえ終わらせて卒業すればいいから、今を手を抜いてしまえという考えはなく、やはりすごい人たちがいっぱいいても負けたくない、いいものを作りたいと思って頑張れているので、そう感じられているうちは望みがあるのではないかとも思っています。これからも本質を大切にする小林聖心の教えを活かしてあきらめないことを目標に、将来の夢は大きく「有名な建築家になる」と公言したいと思います。

千代延さん…大学では、学年が上がっていくごとに専門性が増した授業が多くなりますが、私は化学だけでなく、理科系の他の分野についてもしっかりと勉強したいと思っています。数学や物理学なども興味深い学問ですし、もちろん化学を理解する上でこれらは欠かせない分野です。様々な分野を深く理解し、幅広い視野を持ちながら勉強を進めていきたいと思います。

Aさん…まず、当面の目標は大学院入試に合格することです。修士終了後、就職する際は化学系メーカーに入社して、地球温暖化問題の解決に貢献できるような製品開発に携わりたいです。

【インタビューを終えて】
3人のOGに聞いた小林聖心での理系の学びについては、本質を理解させてくれる実験、記憶に残る興味深い授業や問題など、共通の話題がいきいきとあがった。また少数だったからこそ、女子校だったからこそ、理系好きの個性を遠慮なく伸ばせたという共通認識も印象的だった。小林聖心の教育の特徴のひとつは、教師も生徒もお互いの個を認め、丁寧に向き合うことにあると感じる。そういった姿勢が理系好きの芽を大切に育んだことは間違いない。また行事ごとに自分自身を客観視する振り返りの習慣が、自然科学の本質へアプローチする学びのなかにも活かされていたように思う。最後に、小林聖心は伝統的に英語教育が充実しているが、インタビュー終盤に英語スキルについて質問したところ、3人とも在院中に英検準1級を取得していたとのこと。専門性を持ってグローバルに活躍できる人材を育成することを目指す同学院の生徒のレベルの高さに驚かされた。

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