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報徳学園中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(報徳学園中学校の特色のある教育 #10)

2023年春、京大に合格した3名の卒業生が語る、Ⅱ進コースの魅力

京都大学にⅡ進コースから3名が現役合格。勉強でもスポーツでも、好きなことに集中できる環境は学園の特徴だ。少人数制で学びに没頭した6年間、コースの魅力について卒業生に聞く。

毎年、現役で難関国公立大学、医歯薬系大学への進学を目指す報徳学園中学校Ⅱ進コースは、少人数でじっくりとわかるまで丁寧に指導を行い、6年間をかけてそれぞれの進路を目指す。いわゆる詰込み型ではなく、それぞれの興味関心を深堀りしながら育み、夢や目標へ確実に歩みを進めるスタイルだ。2023年春には京都大学へ3名が現役で合格を果たした。新生活が始まったばかりの4月、合格を勝ち取った卒業生と、6年間担任として成長に寄り添った中東先生にインタビューを実施。大学合格までの取り組みや、報徳学園らしさ、Ⅱ進コースの雰囲気や魅力について話を聞いた。

足立歩望さん 農学部資源生物科学科
影山稜真さん 工学部電気電子工学科
井上創太さん 理学部理学科
担任 中東敏也先生

京都大学への進学について聞かせてください。

足立さん…報徳学園のⅡ進コースは、中学入学時は13人という少人数で、それぞれに個性的な生徒が集まっていました。大学進学への意識が高いコースですが、いわゆる進学校のように勉強漬けというわけではなく、自分の興味があることや好きなことをそれぞれが追求し、それが進学の目標や受験勉強時のモチベーションにもつながっていたように思います。

僕は高2の夏に京大を志望校にして、10月くらいから本格的に受験生モードに入りました。それまでは阪大くらいかなと思っていたのですが、模試の判定がよく、手ごたえがあったので京大へのチャレンジを決心しました。

学部や学科は、小学生の時から好きだった生物を専門的に学びたいと考えて選びました。理学部にも生物系がありますが、おもに基礎研究のため、社会で直接役に立つ応用研究ができる農学部に絞り込みました。

▶︎足立歩望さん

影山さん…僕は京都大学へは一般入試ではなく、特色入試(学校推薦型入試)で合格しました。勉強もそれなりにはしていましたが、学校の勉強ばかりしていたわけではありません。高1でプログラミングを学び始め、情報オリンピックや言語学オリンピックに出場。「プログラミングで社会をシミュレーションする」というテーマで、コンピューターについての論文を書いて、コンテストにチャレンジしたこともあります。このような活動の中、量子コンピューターについて学び、開発に携わりたいという思いが芽生え、京大という目標が見えてきました。高3の9月から進学のための塾にも通ってはいましたが、特色入試に関しては、提出書類の添削など、担任の先生から支援していただきチャレンジしました。

▶︎影山稜真さん

井上さん…僕の場合、京大の志望理由には、いくつかのポイントがあります。まずは中学受験の時。当時、第一志望は実は違う学校でした。そちらは京大に進学する人が多いと、聞いていたこともあり、当時から京大はイメージにありました。また父親が京大出身であることも、影響はあったと思います。

それがはっきりとした志望校になったのは、中3の頃です。当時、学校から支給されたiPadに入っていた数学アプリにドはまり。おもしろくてどんどん難しい問題にチャレンジするようになりました。ここで数学のおもしろさに開眼し、大学でも数学を学びたいと思うようになりました。京大理学部は履修の自由度が高く、自分が受けたい講義を受けやすいと聞き、せっかく学ぶなら、自分が学びたいことを選択しやすい環境がいいと思い、京大理学部が明確な目標となりました。

その後も数学に熱中する高校生だったのですが、高3で「よし、受験生だ」と切り替えたわけではなく、中3の時に集中的に数学を勉強したため、その貯金で受験を乗り切ったように思います。私にとって数学は娯楽の感覚。数学を極めることで、大学受験に必要な科目の成績も付随してうまく上昇してくれました。好きを極めたことで、京大合格にたどり着いたように思います。

▶︎井上創太さん

報徳学園での6年間やⅡ進コースの雰囲気を教えてください。

足立さん…中学受験の時にお世話になっていた塾で、「面倒見のよい学校」とすすめてもらったのが報徳学園に進学したきっかけです。Ⅱ進コースは、中学入学時は13名、高校2年生で選抜特進と一緒になって24名のクラスでした。そのうち16名が理系に進学したかと思います。僕たち3人は中学から6年間一緒に過ごしました。少人数で生徒同士、先生との距離が近く、何でも話せて相談しやすかったのはよかったですね。担任の中東敏也先生には、6年間、本当にお世話になりました。

高1の時、中東先生にすすめてもらって、阪大の高校生向けプログラムSEEDSに1年間参加しました。その時に違う高校の友達と一緒に学ぶこともでき、今でも連絡を取り合う仲間ができました。報徳学園には学内にとどまらず、学びを深められる自由さがあると思います。

影山さん…僕は小学生の時は公文を続けており、報徳学園には公文の推薦制度を活用して入学しました。僕たちのクラスは個性豊かなメンバーが集まっていて、先生がいい意味で放任主義で、生徒一人ひとりの姿勢を大切にしてくれました。中東先生は、中学や高校の先生っぽくなく、自由な雰囲気を作ってくれて、そのなかで生徒はのびのびと好きなことを学ばせてもらったように思います。

報徳学園そのものが、のびのびとしている雰囲気です。スポーツのイメージが強いから、体育会系でノリがよい人が多いと思われがちですが、中高一貫で勉強をしているクラスは、また雰囲気は違います。勉強する時は勉強するというメリハリがありますね。

井上さん…中学受験時の第一志望は、別の学校でしたが、僕は祖父が報徳学園の卒業生で縁がありました。Ⅱ進コースは、生徒それぞれに個性があります。お互いの興味や関心を尊重し、刺激を与えあいながら6年間を過ごしました。担任の先生もまとめるというよりも、それぞれを伸ばそうとしてくださいました。

報徳学園は一般的な進学校とは違い、スポーツで全国レベルの生徒も多く、全員が勉強に重きを置いているわけではありません。そのため受験期に学校全体がピリピリしておらず、いい感じでのんびりしているように思います。競い合いというよりも、個々が自分の目標に向かって進んでいるイメージです。

また男子校なので、精神的にもラクでした。中学受験の時、男子校を希望して選んだわけではないですが、結果的に、女子の視線を気にすることもない生活で、みんなのびのびできていたと思います。

将来について考えていることはありますか?

足立さん…京大農学部は3回生で、植物・動物・海洋にコースがわかれるので、これから学びながら、どのコースに進むか考えます。将来は具体的には決まっていませんが、例えば高校1年の時に「ジャンクDNA」という、DNAにはゲノム上、何の働きをしているかわからない部分があること知りました。非常に興味を持ったこともあり、それを解明するような研究、また品種改良などにも興味があります。

影山さん…最終的には量子コンピューターの研究や開発をしたい。また大学在学中か大学院か、英語圏で量子コンピューター分野で研究力の高いところへ留学したいです。京大協定校だったらトロント大学やシンガポール国立大学などを考えています。

井上さん…「数学の美しさ」などとよく言われますが、僕自身、今はそれを感じられるようなりましたが、最初に数学に興味を持ったのは中学受験の時、難しい問題を解けた時の充実感です。数学は分野が広く、私が知っていることはごく一部。まだまだたくさんのことを学んでいきたいです。大学院へ進学して、その中で自分の進むべき道を探そうと思います。

Ⅱ進コース担任の中東敏也先生のコメント

6年間、彼らを担任しましたが、私が受け持ったⅡ進コース13名は個性豊かで、それぞれに興味があることがあって、得意がある子どもたちだと入学時に感じました。そのため6年間、ビジョンを持って成長を導こうと考えましたね。クラスでひとつにといった一体感よりも、個性にあわせて指導しようとつねに意識しました。

それぞれに能力の高い彼らにいろいろと刺激を与えられるよう、日常的に情報を発信することも続けました。例えば社会に興味を持ってもらえるよう、ニュースを私なりの解説を加えてオンラインツールを使って発信しました。高1のディベートでは、地球温暖化など、社会が抱える課題をテーマとしてチョイス。少数派の意見をピックアップするなど、情報を多面的に読める能力をつけられるように工夫していました。

本校はホームルームが、比較的自由にできるため、授業にはなかったプログラミングに取り組んだこともあります。アプリのスクラッチを取り入れて、それぞれで作品を制作しました。彼らは高校入学と同時にコロナで休校になった学年です。そこで思い切って、自分たちで時間割を作ることにして、当時、オンライン上に開放されていたさまざまなコンテンツを紹介して時間割を作ってもらいました。大学のオンライン講義が視聴できるJMOOCなども取り入れ、それぞれが興味に沿った学びを継続してくれました。こういった積極的な学びの姿勢が、その後の京大や阪大の連携講座にもつながったと思います。

さらに意識していたことは、個々の学びをクラスに還元してもらうことです。それぞれが学んだことをひとりで完結させず、学びをクラスで共有することで、お互いに刺激をしあい、高い意識をキープするように心がけました。

生徒の意見や思いを理由もなく否定したり、大人の意見を押しつけたりしていては絶対に伸びないと考えていましたので、彼らがやりたいと思う状況を作り、子どもたちの意見をベースとした教育活動を行いました。共同性より、個性の尊重。個を伸ばしながら、こちらの仕掛けでクラスをつなぐように意識していました。少人数のⅡ進コースだからできたことも多いと思っています。

▶︎担任 中東敏也先生

3人の卒業生にはどんな指導を心掛けていましたか?

例えば特色入試で受かった影山君には、興味があることを見つけ、それをさらにサポートするように心がけました。足立君と井上君はキャラが対照的です。足立君はコツコツ型、井上君はメリハリ型。私には対照的に見えていました。個性的な二人だったので、お互いを意識して、お互いに高めあえる関係を作ることで、クラス全体にいい影響を与えてくれるだろうと考えていました。

井上君は本校歴代でも数学が得意な生徒だったので、数学の楽しさをシェアできる仲間を作りました。各学年で数学がおもしろいと思ってくれる生徒を探し、井上君に講義をしてもらったり、数学の先生に大学レベルの授業をしてもらったり。勉強合宿の朝、彼らが自然と集まって学ぶサークルのように発展していました。勉強への意識が高い生徒たちと触れ合い、同世代で刺激を与えられるように、学校の外を意識しながら展開していました。

【取材を終えて】
京大へ進学した3人の卒業生は、それぞれに興味や得意が異なる。報徳学園で過ごす6年間で、自分の好きと向き合い、自身の進むべき道を見つけた彼らの話には、これからの時代に求められる学力の身につけ方のヒントがたくさんあった。好きなことは人生の道しるべになる。報徳学園には興味や関心と向き合うのびのびとした環境があることを実感するとともに、彼らが活躍する将来が楽しみとなるインタビューだった。

またインタビュー中、何度も彼らの口から登場した中東先生の存在も大きい。個性を尊重しながら、どう生かせば伸びるかと真剣に考えて、6年間、たくさんの仕掛けづくりを継続された先生のビジョンは、見事に結実したといえるだろう。少人数で自由度が高いⅡ進コースならではの雰囲気を感じた。

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