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しばうらこうぎょうだいがく

芝浦工業大学附属中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(芝浦工業大学附属中学校の特色のある教育 #13)

探究成果の発表会「SHIBAURA探究DAY」までの軌跡

芝浦工業大学附属中学校では、2021年度から「理工系の知識で社会課題を解決」をテーマに独自の探究プログラムを実施。成果発表会を取材し、担当教員と中2の生徒に話を聞いた。

芝浦工業大学附属中学校では、2021年度から「理工系の知識で社会課題を解決」をテーマに「SHIBAURA探究」に取り組んでいる。2026年2月21日に実施した「SHIBAURA探究DAY」では、各学年が今年度取り組んできた探究の成果を発表。当日行われた中2のポスター発表やそこに至るまでの学びについて、「SHIBAURA探究」担当の横山浩司先生(数学科)と中2の生徒に話を聞いた。

▶︎生徒に加え、保護者も見守る中行われた「SHIBAURA探究DAY」

PBL(課題解決型学習)を重ねる「SHIBAURA探究」

2021年度にスタートし、5年目を迎えた「SHIBAURA探究」。「SHIBAURA探究DAY」の全体発表では、中1と中2の生徒が2年間の学びについて説明した。中2までの2年間は、ITツールを使ってアイデアを形にしていく「IT(Information Technology)」と、多様性と国際性を前提とした思考を育てる「GC(Global Communication)」を並行して実施。中3になると、ITとGCで学んだことを駆使して社会課題解決のアイデアを提案する「総合探究」へとステップアップしていく。

「SHIBAURA探究は、自ら課題を見つけて問いを立てて、課題解決のアイデアを創出する力を身につけることを目指し、PBL(課題解決型学習)を重ねていくことが大きな特徴です。疑問を感じることのなかった日常から問題点を見出したり、こんなことができるかもしれないという視点を持てるようになってほしいという思いをどのプログラムにも盛り込んでいます。1年次は、個々のスキルにフォーカスしたプログラムです。例えば豊洲周辺について調べることを通して知識や情報を集め、問いを立てる課題を少しずつ盛り込んでいき、探究スキルを身につけていきます」(横山先生)

1年次の「IT」では、「Scratch」というプログラミング言語を使ってドローンの飛行制御をしたり、日本科学未来館で体験したことやインタビューしたことを通して感じた同館の魅力を伝える動画(CM)を制作。日本航空(JAL)の整備工場を見学して最先端のテクノロジーに触れ、同社が抱える企業課題について解決策を考えるなど、企業とも連携しながらテクノロジーのスキルに特化した探究を積み重ねた。「GC」では、「TOYOASOBI」(豊洲解剖図鑑の制作)、「Our SDGs」(海洋マイクロプラスチック問題を科学的に考察)、「EDOMONO」(江戸の伝統工芸品に関する探究)を通して、インプット中心の調べ学習を実施。2年次の「IT」では、データサイエンスで企業課題を解決する方法などを学び、東京メトロの課題解決に挑戦した。

「2年次のGCは長野農村合宿と連動して、それまでに培ったスキルを活用して課題の発見から解決策を見つけるまでの流れを自分たちで進めるPBLです。長野に行って現地の方から話を聞いたり、現地で見てきたことを踏まえてチームで協働して解決策を考えます。本校の探究は、アントレプレナーシップを育む場でもあり、アイデアを形にして世に出すところまで視野に入れています。3年次には、自分でテーマを決めて問いを立てて進める総合探究に発展し、中学での集大成として、実際にアイデアを形にするところまで行うプログラムです。2年次に考えたアイデアを形にする生徒もいますし、新たに興味を持ったテーマに取り組む生徒もいます。1人では実現が難しそうなことでも、得意分野が異なる生徒が集まって協働することで実現への可能性が広がります」(横山先生)

▶︎横山浩司先生

長野農村合宿と連動した「GC」の成果発表

「SHIBAURA探究DAY」では、中1、中2の全体発表に続いて、中2「GC」のポスター発表が各教室で行われた。長野県の地域振興を大きなテーマとし、さらに細かく「廃校利用」「交通インフラ」「少子高齢化」「農業」といったテーマごとに分かれてPBLを実施。その成果をポスターにまとめて、グループごとに発表した。今回話を聞いたグループが選んだテーマは、「廃校利用」。地元以外での認知度の低さが一番の問題と考え、廃校を活用したい人と廃校の出会いをつくる「廃校マッチングアプリ」を提案した。

「このグループの提案は、評価の軸となる新規性、有用性、実現可能性がどれも高評価で、ポスターも綺麗にまとまっていました。先行事例にあるようなバスツアーだと時間も手間もかかりますが、マッチングアプリならスマホで手軽に条件に合った廃校を見つけることができます。GCだけでなくITでの学びがあったからこそ、アプリにたどり着けたのだと思います。実際にアプリを制作することを視野に入れて、3年次の総合探究でさらに深めることもできるでしょう。過去にはアプリを制作して世に出した生徒もいるので、アイデアを形にして長野の方たちに売り込んでくれる生徒が出てくることに期待しています」(横山先生)

中2の生徒にインタビュー

「廃校利用」をテーマに発表したグループ
Oさん 中2
Sさん 中2
Tさん 中2

▶︎生徒や保護者に対して何度もポスター発表を行った

▶︎Oさん、Tさん、Sさんのポスター

――長野県が抱える課題の中で、「廃校」に関心を持ったきっかけを教えてください。

Sさん 探究に取り組むまでは、「廃校」という言葉を聞いたことがありませんでした。「廃校」って何だろう、どんな問題があるのだろうと気になったことが、テーマとして選んだきっかけです。

Tさん 私も似たような感じです。言葉としては知っていましたが、廃校になった学校を見たことがなく、どのような問題を抱えているのか興味があったので選びました。

Oさん テレビで廃校を利用した施設が紹介されているのを見たことがあり、過疎化などにより全国で多くの学校が廃校になっていると知りました。テーマの一覧を見たときそのことを思い出したので、廃校利用について取り組みたいと思いました。

▶︎Sさん

――どのような流れで取り組みましたか?

Sさん まず、他県ではどのような取り組みを行っているか、どのように解決したかを調べたのですが、京都で廃校マッチングバスツアーを実施していることに驚きました。廃校活用に関心がある事業者がバスに乗って廃校をめぐり、条件に合う廃校を見つけるツアーです。アプリにたどり着くまでは、伝統体験施設としての利用なども考えたのですが、なかなか形になりませんでした。

Oさん 長野に行ったときに地元の方から、廃校を利用したい事業者は多いのに活用してほしい廃校と出会う機会がほとんどないと聞きました。今廃校を使っているのは、もともとその地域に縁がある人が多いそうです。バスツアーは面白そうだと言われたことも、方向性のヒントになったと思います。出会いがもっと簡単になればいいなと思い、そこからアプリにつながりました。 

Sさん 文部科学省が主催しているイベントなどもありますが、自分が事業者側の立場だとしたら参加するハードルが高いなと感じます。もっとハードルが低くなるように、恋愛マッチングアプリのような仕組みがあったらいいなと思いました。

Oさん アプリを提案すると決まってからは、わりとスムーズに進んでいきました。地域や広さなどの条件を入力して「いいね」やメッセージを送り、マッチングした廃校の担当者とやりとりをしてから現地を訪れるという流れです。

▶︎Oさん

――マッチングアプリの提案に対する先生方の反応はどうでしたか?

Tさん 本番に向けて、先生方の前で発表をして質問を受ける「壁打ち」を行いました。そのときは、自分たちが思っていた以上に「いいアイデアだね」と褒めてもらえたので、かなり自信がつきました。

Sさん 改善点としては、自分たちのアイデアをよりわかりやすく伝えるために、具体的な先行事例を入れた方が説得力も増すとアドバイスをいただきました。それを受けて、バスツアーの実績を付け加えたりして、より伝わりやすくなるように改善していきました。

▶︎Tさん

――当日は、どのような質問や感想がありましたか?

Sさん 「長野の現状」のところに全国の廃校数を書いていたので、先生からそれについての指摘がありました。発表前に気づけたら、もっとよい発表になったと思います。 

Oさん 先行事例について、手続きの大変さをもう少し詳しく書いていたら、マッチングアプリのメリットがより伝わりやすいという意見もいただきました。バスツアーやイベントなど、リアルで開催されるものは申請の手続きなどが大変なので、そのあたりをもう少し深堀りできていたらよかったと思います。

Tさん 私は当日、インフルエンザで欠席してしまったので、発表できず残念でした。事前の準備としては、アイデア出しではあまりよい考えが浮かばなかったのですが、2人から出たアイデアをしっかりと理解して、伝わりやすくまとめる作業などで力を発揮できたと思います。

Sさん 私はアバウトなイメージを伝えただけだったのですが、Tさんが写真を入れてくれたりして、伝わりやすいポスターになるように工夫してくれたのでありがたかったです。

――中学受験をする際に、この学校を選んだ理由を教えてください。

Sさん 英検を受検したときにここが会場だったのですが、校舎がとても綺麗だなと思ったことが印象に残っています。もともと工作が好きで、ロボット講座にも参加して楽しかったので、この学校なら授業でロボットやパソコンのことも学べるのがいいなと思って受験しました。

Tさん 私は小学生の頃から数学が得意で、工作やプログラミングに憧れがありました。習い事として、プログラミングを少しやったこともあります。それで見学に来てみて、授業でもっといろいろ学んでみたいと思ったので受験しました。

Oさん まず、制服がかわいいからです。それに加えて、もともと工作が好きだったこともあり、プログラミングを学べたらもっと工作の幅が広がると思いました。小学生の頃は段ボールや折り紙を使うレベルですが、プログラミングができれば動くロボットも作れるようになります。工技研(工作技術研究部)に入りたいという憧れもあったのですが、入学後に気持ちが変わってバスケ部で頑張っています。

――学校生活ではどんなことが楽しいですか?

Tさん 私は「ものづくり」がしたいと思って工技研に入ったのですが、「ファクトリー」と呼ばれる工具などが揃ったスペースがあり、やりたいことが実現できる環境が整っているので充実した学校生活を送れています。今は、「エコラン」(Honda エコ マイレッジ チャレンジ)に出場する車を作っています。「エコラン」は速さではなく燃費性能を競うので、その車体づくりはとても楽しいです。

Oさん 時間割の中に、SD(Self Development)という自学自習の授業があるのがいいなと思っています。テスト対策の勉強をしたり、授業の復習をしたり課題を終わらせるなど、何をしたらいいか自分で考えて取り組む授業です。SDが時間割の中にあることで、家で好きなことに時間を使えますし、部活動にも集中できるので、自分の時間を有効に使えています。

Sさん コンテストがいろいろあって、特に1年に1回開催される英語のプレゼンコンテストが楽しいです。この学校は発表する機会が多く、社会に出てからもその経験は活かせると思います。私は英語も発表するのも好きで、得意と思っているのですが、英語の語彙を増やしてもっと伸ばしていきたいです。部活は美術部に入っていますが、一番自由な部活かもしれません。それぞれが興味や関心を持ったことに取り組んでいて、絵を描いたりするだけでなく、模型やジオラマを制作したり、3Dプリンターを使って工技研っぽいこともできます。それぞれがやりたいことを突き詰めようと、楽しく活動しています。

<取材を終えて>
2021年度からスタートした「SHIBAURA探究」は、プログラムの内容が年々アップデートされており、来年度もさらに充実したプログラムが組まれるだろう。インタビューしたグループは、廃校の活用方法を考えるのではなく、活用されやすくなるための解決策を提案した。実際に現地の人に話を聞くという経験と、ITで学んできた積み重ねがあるからこそできた提案である。長野県の課題解決に向けて、「SHIBAURA探究」発のアプリなどが実用化される日が来るのも夢ではないだろう。今後の展開にも注目したい。

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