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じょしびじゅつだいがくふぞく

女子美術大学付属中学校 

スクール特集(女子美術大学付属中学校の特色のある教育 #5)

学校を開放し、6学年合同の「大スケッチ大会」を開催

この秋、女子美術大学附属高等学校・中学校は、全学年一斉の「大スケッチ大会」を学校内で実施した。毎年、学年ごとに行っている校外スケッチが、今年はコロナ禍で中止となり、その代替として開催したという。その模様を取材した。

10月18日(水)、同校は朝から学校を開放し、「大スケッチ大会」を開催した。全校生徒約1000名が参加したこのイベントは、女子美初の試みだったという。実施に至った経緯や目的について、美術科主任の遠山香苗先生に話を聞くとともに、当日の生徒たちの様子を取材した。

大好きな学校をモデルに、大好きな絵を描く

「大スケッチ大会」が行われた日は、爽やかな秋晴れの日だった。生徒たちは校庭や中庭、教室、廊下、階段、屋上のテラスなど、学校のあらゆる場所に赴き、1日かけてスケッチに取り組んだ。同校はどのような目的で、この一大イベントを実施したのだろうか。遠山先生はまず、美術科の学びから説明をする。
「本校は授業以外に、校外でのスケッチや美術鑑賞を、とても大事にしています。毎年、中1は軽井沢、中2は房総、高1は安曇野へ行く春季旅行を実施し、そのうち1日は屋外でスケッチをします。生徒たちは、都心にはない自然の光景や、そこに流れる空気を感じながら、それぞれの美を探究し、豊かな観察力や表現力を育んでいきます。
絵を仕上げた後は、全体展示をしてみんなで作品の感想を述べ合ったり、教員がコメントをしたりします。こうした講評を通して作品を仕上げる楽しさや厳しさを学び、日常の美術の学習に反映していきます。

また、中3、高3の修学旅行は、どちらも奈良と京都へ行き、日本の伝統美術を鑑賞します。そのほか、毎年秋に、学年単位で美術館や博物館を訪れます。見学先は、その学年の美術教育の内容に合わせて選定しています」

▶︎美術科主任 遠山香苗先生

しかし、今年は新型コロナウィルスの影響で、旅行も美術館訪問もすべて中止となった。遠山先生は、「何か生徒たちを楽しませることはできないか」と考え、今回の「大スケッチ大会」を思いついたという。「学校から近い新宿御苑へ行くことも考えましたが、女子美の生徒は常々、学校が『好き』だと言っています。そこがヒントになりました。大好きな学校をモデルにして、題材は何でもよいので生徒たちが思い切り絵を描ける時間を作ろうと思いました」。
そのことを学校に提案すると、すぐに賛同の声があがったという。「音楽科や理科、書道、家庭科、どの教科の先生も快く『部屋を開けますよ』と、言ってくれました」。そうして、学校全体を開放し、6学年の生徒が参加する「大スケッチ大会」を開催した。

様々な切り口でスケッチをする生徒たち

当日のスケッチ場所については、密を避けるために、事前に生徒たちに希望場所のアンケート調査を行った。一番人気は、ニケの像が飾られている「ニケ広場」だったという。そこは抽選となったが、生徒たちは、自分の好きな場所、思い入れのある場所を自由に選び、スケッチに取り組んだ。

高3のTさんは、女子美らしいところを描きたいと、B1の廊下にあるカルトン(棚)を選んだ。「この廊下は6年間、何度も通っているけれど、ふと立ち止まって見ると、意外と暖かい色があったりする。また、カルトンに付いた傷や汚れ、絵の具の跡を見ると、切ない気分になったり、また先輩が残した色なのかなと、いろいろな想像が膨らみます。女子美らしさは、実は何気ない日常の中にあるのかもしれない。そんな気づきを、この場所で得ました」

高1のKさんは、校舎の外にある配管を描いた。「この配管のある場所だけ、地下に光が差し込み、少し寂しいところと明るさが混在しています。グレーのコンクリートの壁に、光が当たることで、色が何層にも重なっている感じを表現してみたかった」と言う。

化学実験室では、何人かの生徒が、ビーカーやフラスコなどの実験器具を描いていた。中1のSさんは「理科の実験室は、かっこいいイメージがあって、ここを選びました。寒色が好きなので、透き通った涼しい感じに色塗りをしたいです」と話す。「入学後すぐに休校になって、なかなか絵を描く機会がなかったので、今日はとても楽しいです」
隣の生物実験室では、「興味があるけれど、美術の授業では描くことがないから」と、人体の骨をスケッチしている生徒もいた。

広々とした絵画室には、モチーフになるものがたくさんあるが、中2のHさんは、隅の棚に雑然と置かれている小物類を描いていた。「この一つひとつを先輩たちがモチーフとして描いていたのを見たことがあります。それが寄せ集めになっている感じが素敵だし、思い出が深くていいなと感じました」
同じく隣で、奥の棚をスケッチしている中2のMさんも「絵画室のこの一角だけ、色がいっぱいあって、水彩にした時にきれいかなと思いました」と話す。また、今回の大スケッチ大会について「学年の隔たりなく、みんなで絵を描けるのが楽しいです。特に先輩たちの絵を下書きから見ることができるので勉強になります。先輩が描く線は、何重に描いても一本のきれいな線に仕上がって無駄がありません。また、水彩は始めに青と黄色を塗るのですが、明暗の分け方がきれいで見習おうと思いました」

全校生徒が描いた絵を一同に展示

生徒たちがスケッチしている間、美術科の先生は見回りをして、アドバイスを送る。遠山先生は「生徒が、日頃学んでいる学校のどの部分を、四角い画面に切り取るのか興味があった」という。そして、「思っていた以上に、構図を狙っていましたね。一点透視で遠近感を出したり、ものすごく近くに寄って切り取ってみたり…。また、描く対象や捉え方、表現の仕方も様々で、改めて女子美の生徒は個性が多様で豊かだと思いました」

この日、生徒たちが描いた絵は、ケースに入れて、一斉に展示をする。「高校と中学の力の差は歴と現れると思いますが、その学年ならではの個性や良さは必ずあります。美術科の教員は、約1000人の絵を一同に見ることができるのを、みな楽しみにしているんですよ」

「大スケッチ大会」の展覧会は、12月12日~18日に、同校のエントランスギャラリーで開催された。今回は、コロナ禍のイレギュラーなイベントだったが、学校は生徒たちの感想を聞いて、今後の展開も考えているそうだ。

<取材を終えて>
コロナ禍で校外学習の行事がすべて中止となり、また、1学期は休校が続き、対面の美術の授業をあまり受けることができなかった生徒たちに「少しでも楽しんでもらいたい」と行われた「大スケッチ大会」。当日、イキイキとした表情でスケッチブックに向かっている生徒の姿を見て、先生たちの思いは伝わっていることを確信した。そして、改めて女子美の生徒は絵を描くのが好きなこと、この学校には、好きなことを伸ばす環境があることを感じた。

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