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東京都市大学付属中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(東京都市大学付属中学校の特色のある教育 #7)

学校生活のリアルを生徒目線で発信! 新聞委員が作る広報誌「T-Scope」

東京都市大学付属中学校・高等学校の生徒会新聞委員会は、年に6回、生徒の生の姿や声を発信する広報誌「T-Scope」を発行している。その活動や制作に対する思いなどを取材した。

生徒会新聞委員会のメンバーが企画から取材、執筆、編集までを手がけ、学校の魅力を発信する広報誌「T-Scope」。その活動について、新聞委員会担当の馬場先生と幹部の4人の生徒に話を聞いた。

生徒ならではの切り口で、1つのテーマにフォーカスした誌面作り

同校は、2010年度から生徒会新聞委員会が広報紙を制作している。以前は「STAR☆T-LINE」という名称の壁新聞を作っていたが、2020年度より現在の冊子の形式にリニューアルし、名称も変更した。ちなみに「T-Scope」には、生徒の視点で学校生活に焦点を当て、細やかに発信していこうという思いが込められている。よって、毎号テーマを1つに絞り、発行回数も年3回だったものから6回へと増やした。

同誌は在校生だけでなく受験生にも配布をしており「教員の広報活動にはない切り口で学校の情報を発信しているので、受験生からも好評ですね」と馬場先生は言う。「記事のテーマは、幹部の生徒たちによる編集会議で決めます。本校には文化祭や体育祭といったメイン行事の他に、学年ごとの行事もあり、これらのイベントを織り交ぜながら、面白いテーマがないかアイデアを出し合います。編集会議には、レイアウトや印刷をお願いしている業者の方も同席しています。テーマが決まったら、取材や必要に応じてアンケートを取り、集めた素材をもとに執筆、編集をします」

なお、新聞委員は中学校が各クラスから1名、高校(1、2年)は各クラスから2名が選出される。

※「T-Scope」は、同校HPでも閲覧可能です。

新聞委員会の幹部の生徒にインタビュー

お話を聞いた人(学年は取材した2024年度のものです)
Yさん 高校2年生 副委員長
Aさん 高校1年生 委員長
Nさん 中学3年生 中学委員長
Mさん 中学3年生 中学副委員長

▶︎左からYさん、Aさん、Nさん、Mさん

Q.最初に、新聞委員になろうと思った理由を教えてください。

Yさん 高1の時も新聞委員だったのですが、その時はジャンケンに負けてやることになりました(笑)。でも委員をしてみたら、学校の出来事を振り返って文章にすることが思い出として強く残り、良い経験になっていると感じました。それで、高2では自分から手を挙げました。

Aさん 中1の時から興味がありましたが、新聞委員が何をしているのかよくわかりませんでした。1年間、「T-Scope」を読んで、活動が楽しそうだったので、中2から入り、中3では中学委員長も務めました。

Nさん 僕も同じで、中1の時に「T-Scope」を読んで、新聞委員に興味を持ちました。また、A先輩は部活の先輩でもあって、先輩のもとで一緒に委員会の仕事をしたかったというのも大きな理由です。

Mさん 小学生の頃、学校の行事を文章にまとめる係をしていました。この学校に入学して新聞委員会があることを知り、みんなやりたいんだろうなと思っていたら、誰もやる気配がなかった(笑)。それで自分から立候補し、実際、活動も楽しかったので3年間続けています。

▶︎Yさん

Q.どんな時にやりがいや楽しさを感じますか?

Yさん どんな記事を書くかを考えながら行事に参加したり、自分の書いた記事が載っているのを見た時にやりがいを感じます。印象に残っているのは、文化祭の特集でスキー部を取り上げたことです。スキー部は模擬店でかき氷を販売していたのですが、同時に部活に関する展示も行い、お客さんが列に並んでいる間も楽しめるように工夫していました。そのことを記事で紹介しました。

Aさん 2024年度から、新聞委員の代表として学校説明会に参加しているのですが、直接、受験生に「T-Scope」を渡して、いい反応が返ってきた時は嬉しかったですね。一番思い出に残っているのは、前回の文化祭です。新聞委員会のブースを作ったり、出展する団体の紹介記事を書いてモニターで流したり、いろいろなことをやりました。活動を通じて仲間とのつながりを感じることもできました。

▶︎Aさん

▶︎新聞委員会のブース(文化祭)

Nさん 自分の記事が載った時も嬉しいですが、文章を書いたり、どんな写真を使うか考えたりする作業の過程も楽しいです。特に嬉しかったのは、自分の企画が採用されたことです。2024年度から学校のカフェテリアのシステムが変わり、説明会の時に受験生に知ってもらおうと提案したら、それが通りました(Vol.24)。

Mさん 僕は文章を書くのも好きですが、写真を撮るのも好きです。中1で多摩川徒歩ラリーという行事に参加した時、目の前でカモが泳いでいるのを見て、どういう角度で撮ったらいいか考えながら、夢中になって撮影した記憶があります。その写真をT-scopeに掲載しました。

Q.活動をする上で心がけていることはありますか?

Yさん 誌面が完成した時にどうなっているか、常にイメージをしながら活動しています。また、取材をする時も文章を書く時も、いかに学校の良さを伝えられるかを意識しています。

Aさん 新聞委員の中には、文を書くのがあまり好きではない人もいるけれど、とにかく一文でもいいから出してくれ! と声をかけています。なるべく幅広い意見を伝えられるようにしています。

Nさん テーマを決める時は、発行する時期を意識することが大切です。たとえば受験の後の発行だったら、新しく小6、小5になる人がターゲットになるので、これから学校に興味を持ってもらえるよう、反対に受験前だったら、おおまかな学校の情報は知っていると思うので、違う角度の企画を考えます。

Mさん 記事を書く時、自分がその時に感じたことをいかに引き込める文章で表現ができるか。自分の気持ちに嘘はつきたくはないので、感じたことをなるべく崩さず、良い文章を作れるように心がけています。

▶︎Nさん

Q.活動を通じて、得たことや成長したと思うことはありますか?

Yさん 自分の思っていることや出来事を文章にする力が向上しました。編集会議では、これという案が出なかったり、意見がまとまらない時もあるけれど、みんな妥協をしないで、良いものを作ろうという気持ちを貫いています。そうした中で、自分たちは学校のために役立つ仕事をしているのかなと思うようになりました。

Aさん やれることは何でもやってみようというタイプなので、新聞委員に負担をかけてしまうこともあるのですが、企画力や行動力がついたと思います。学校の様子を把握したり、先生とコミュニケーションをとる機会が増えたのも良い経験です。

Nさん 入学する前は文章を書くのが苦手でしたが、書かざる得ない状況になって書く力が備わりました。また、字数を調整するスキルも身につきました。

Mさん 編集会議で会社(業者)の人と意見を交わすことは、中学生ではなかなか体験できるものではありません。実際、議論をして良い企画が生まれ、それが形になります。こうした経験をこの先、何かに活かせたらいいなと思います。

▶︎Mさん

Q.(高2のYさんへ)後輩に託したいこと、(他の3人に)また今後の目標を教えてください。

Yさん 少しでもやりたいと思ったことは、Aくんのように何が何でも実現するぞ!という勢いで取り組んでください。

Aさん 2024年度はやりたいことをやってきました。2025年度も委員長を続けられる立場なので、微妙だった企画は改善し、良かったものはより進化させていきたいです。

Nさん 来年は自分たちが最高学年になるので、その時にA先輩のような強いリーダーがいなくてもちゃんと機能するよう、1年間、先輩のやることをしっかり学んでいこうと思います。

Mさん 一番の目標は新聞委員会を廃れさせないこと。むしろNくんと2人で賑やかにしたいと思っています。今は、立候補のないクラスもあるので、やりたい人が増えるような委員会にしたいです。また、2024年度は記事の締切やアンケートの回収を守らない委員もいたので、きちんと人の管理もできるようにしたいです。

協働して創り上げる力やスケジュールを管理する力を育成

馬場先生によると、「この4人の生徒は、みな文化部にも所属しています。文化祭では、それぞれ自分たちの発表に向けて練習や準備があり、とても多忙です。そうした中でも彼らは、新聞委員会のブースを作って、「T-Scope」の魅力を発信するなど、精力的でしたね。ちなみに委員会の中でブースを設けていたのは、新聞委員会だけです。また、2024年度からAくんの発案で教室掲示用の広報紙『T-times』を制作したり、文化祭の時期に食堂や廊下にあるモニターで部活動や団体の紹介を流す活動もしていました。その紹介文も新聞委員がまとめ、写真も撮って、それらをCMのように流していました」と話す。

▶︎取材した教室に掲示されていた『T-times』

さらに馬場先生は、生徒たちの成長を次のように語る。「本人たちも書く力が向上したと言っていましたが、実際にその通りで、普通の生徒が『楽しかった』と簡潔に済ませるところを『○○をしていた点が見どころだった』『こんな工夫をしていた』とひねりを加えるので、記事としての面白みがありますね。また、編集会議で様々な案の中からテーマを1本に絞り、業者の方とも確認し合い、じゃあ動こうとなった時に仕事の役割分担をするのも幹部の仕事です。そして、この期日までに原稿を書くよう、アンケートを集計するようにと一般の委員に伝えます。リーダーとしての姿勢や、スケジュール管理をする力も育っていると感じます」

来年度、高3になるYさん以外の3名の生徒は、新聞委員を継続することを宣言している。これまで培った経験をもとに、どんな誌面を作り、広報活動を進化させていくのか楽しみだ。


<取材を終えて>
生徒が作る広報誌の良さは、何と言っても生徒の生身の姿、声を伝えていることだろう。実際に「T-Scope」を読んでみたが、まず「カフェテリアに秘められた2つの顔とは?」、「トシコー夏休み潜入調査」などと企画が面白い。記事や感想もきちんと書かれていて、受験生にとっても、学校のホームページやパンフレットにはない情報が得られ、興味や親近感が湧くのではないだろうか。

▶︎馬場先生

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