スクール特集(報徳学園中学校の特色のある教育 #13)

難関国立大学に進学した先輩が語る「文武両道」の報徳イズム
スポーツでも勉強でも高い成果を上げる生徒が多い報徳学園。今回は難関国立大学へ進学し、現在大学2回生として充実した日々を送る3名の卒業生に、文武両道の6年間についてインタビューした。
報徳学園中学校は、大学受験時に一般選抜で難関国公立大学現役合格・医歯薬系大学進学を目指す「Ⅱ進コース」と、国公立大学や難関私立大学現役合格を目指す「Ⅰ進コース」が設けられている。同校では学校生活を通して道徳力や人間力を育みながら、新しい社会で活躍できる人材の育成を掲げており、近年では海外大学進学支援にも力を入れる。今回は、報徳学園中学校に入学し、高校時代は「特Ⅱコース」で共に学び、それぞれに道を切り拓いた卒業生のストーリーから、男子校だからこその魅力を伝える。
【青田 輪さん】
大阪大学人間科学部人間科学研究科2回生
中学受験時は「Ⅰ進コース」で入学し、高校進学を機に難関国公立大学を目指す「特Ⅱコース」へ移行した。在学中はワンダーフォーゲル部と理科研究部に所属。

――報徳学園に入学したきっかけを教えてください。
自宅から自転車で10分ほどという、通いやすい立地だったこともあって報徳学園を志望しました。中学受験をした理由は地元の公立校へ進むよりも、落ち着いて自分のペースで勉強できる環境を求めて私学を選んだという感じです。報徳学園中学校に絞って受験しました。
――報徳学園での思い出や、学園の雰囲気を教えてください。
中学入学直後は男子だけの環境ですし、「なじめるかな」と感じたこともありましたが、すぐに友達がたくさんできて楽しく生活できるようになりました。転機となったのは、中高合同で活動していた「ワンダーフォーゲル部」での経験です。ワンゲル部は中学生と高校生が一緒に活動をしますが、高校は難関国公立大学を目指す「特Ⅱコース」の先輩が多く、勉強に対する高い意識に刺激を受けました。大阪大学に進学した先輩も在籍しており、身近なモデルケースになったと思います。自分も難関国立大学を目指したいと考えるようになり、高校進学のタイミングでコースを変更しました。またコロナ禍の影響を受けた時期でしたが、ワンゲル部で八ヶ岳や立山への合宿などを経験できたことはいい思い出です。高校に入ってからは、理科の先生から「化学基礎の力があるから一緒にやろう」と誘われて「理科研究部」にも所属しました。そこで実験や研究に触れられたことは、今につながる経験ですね。
――大阪大学人間科学部の志望理由を教えてください。
高一ぐらいの時に、人の心理に興味を持つようになりました。それで最初は神戸大学を考えていたのですが、「ひとつ上のレベルを狙わないと届かない」と言われたこともあって。また自分が学んでみたいと考えていた行動学は大阪大学の方で学べそうだったので志望校が定まりました。また「一見、仕事に直接関係がない、曖昧な『人間の心や行動の根幹』をじっくり学びたい』という知的好奇心があったことも心理学や行動学に進んだ理由です」

――大学受験に向けて、どのように勉強しましたか?
塾も補助的に利用していましたが、メインは学校での勉強でした。校内にある自習室「金次郎スタジオ」をフル活用し、同じクラスの気心の知れた仲間と、同じ空間で切磋琢磨しながら勉強に励みました。現役の時は不合格だったのですが、「どうしても阪大に行きたい」と初志を貫いて、浪人を選択して1年間励みました。
――今後の夢や目標を教えてください。
大学院への進学を予定しており、さらに研究の道を深めたいと考えています。大学に入ってから、淡路島でニホンザルの生態研究を経験したことをきっかけに「動物行動学」に興味を持つようになりました。雌雄間の関係性や行動のメカニズムについての性選択の研究を専門的に志してみたいと考えています。
【大泉勇人さん】
神戸大学理学部惑星学科2回生
中学受験で双子で弟の拓土さんと「Ⅱ進コース」に入学。中高6年間、軟式野球部に所属。2023年8月には兵庫県大会で優勝し、第68回全国高校軟式野球権大会に出場した。

――報徳学園に入学したきっかけを教えてください。
中学受験で志望校を考える時、親から希望を聞かれたのですが、小さい時から野球が好きだったため、地元の野球強豪校として「報徳」の名前が思い浮かびました。それから報徳学園のことを調べるうちに、親も「いいね」となって。たしか学校紹介の動画が学校のホームページあったのですが、それを見て「行ってみたい」と思ったことを覚えています。それで弟の拓土と父と一緒に学校見学に行きました。当時、現在はプロ野球選手として広島カープで活躍している小園海斗さんが、まだ報徳高校に在学中でした。その日、野球が好きなことを先生に話をしたら、小園さんに会わせてくれて握手させてもらったんです。ほかにも学校生活の話も聞かせてもらって、気持ちも決まりました。
――報徳学園での思い出や、学園の雰囲気を教えてください。
報徳での6年間を一言で言うなら、「めちゃくちゃ楽しかった!」に尽きますが、高校3年の夏、軟式野球部で出場した全国大会は特に忘れられない思い出です。軟式野球部は僕たちの代を最後に廃部が決まっていました。そのため新入部員がおらず、同級生の部員11名だけで活動を続けていました。野球は9人のスポーツですから交代のメンバーも少ないギリギリのチームだったんです。 それでも「自分たちの代で軟式野球部の歴史が終わるからこそ、有終の美を飾ろう」と団結し、一丸となって大会に臨みました。11名で力を合わせて兵庫県大会を勝ち抜き、兵庫県代表として全国大会へ進めたこともうれしかったです。
報徳のよさは、部活などでの生徒の頑張りを全力で応援してくれる環境と、「盛り上がる時は全力で盛り上がり、集中する時は集中する」というメリハリです。男子校なので格好つける必要もなく、素の自分のままで全力で楽しめます。授業中はしっかり集中し、休み時間になれば雨でも外へ飛び出して遊ぶ、そんな濃い6年間を過ごせたことは財産です。
――難関国公立大学の受験に向けて、どのように勉強しましたか?
高校時代、難関国公立大学目指す「特Ⅱコース」には在籍していましたが、高3の8月まで部活動にすべてのエネルギーを注いでいたこともあって、当時は成績が良い方ではなく、下から数えた方が早いくらいでした。それでもコツコツ勉強して、小テストなど基礎学力をつけることは大切にしていました。部活での「最後まで諦めずにやり切った経験」と粘り強さで、引退後から勉強でも猛スパート。現役時代は地方国立大学で合格は出たのですが、関西の国立大学を目標に一浪しました。「特Ⅱコース」は6年間クラス替えがなく、少人数クラスだったこともあって、何でも話せて、受験期も支え合える絆がありました。

――大学での学びや今後について教えてください。
神戸大学の惑星学科は3回生から、それぞれの専門研究室に分かれていくシステムになっています。そのため、今は将来の専門研究に必要な数学や物理を深く学んでいる段階です。日々の講義を受ける中で、宇宙か、地震か、地層か、進路を考えているところです。
大学では硬式野球部に所属しています。部活と大学の授業を調整して、1回生の時には大学からフィリピンへ3週間の短期留学も経験しました。現地では英語を話す楽しさと手応えをリアルに実感することができました。これからはさらに語学力を磨き、また留学に挑戦することを目指しています。
【大泉拓土さん】
大阪大学工学部地球総合工学科2回生
(中学受験でⅡ進コースに入学。中学は硬式テニス部、高校は数学研究部に所属)

――報徳学園に入学したきっかけを教えてください。
父親と双子の兄の勇人と一緒に学校見学に訪問した時、青々としたきれいなグラウンドや校舎の雰囲気がいいなと思いました。iPadを導入した先進的な教育や「とにかく面倒見がいい」という丁寧な説明を聞いて、楽しそうだなと感じたことも覚えています。兄も話していましたが、学校見学時に、当時高校野球で活躍していた硬式野球部の小園海斗選手(現・広島東洋カープ)に会うことができて握手をしてもらうなど、報徳学園の第一印象はとてもよかったです。
――報徳学園での思い出や、学園の雰囲気を教えてください。
男子校だからこその集中力があって、「やる時はやる」という空気感が特徴だと思います。報徳学園が一般的な進学校と異なるのは「文武両道」であること。スポーツで全国トップレベルを目指して死に物狂いでがんばっているクラブもありますし、僕たちのように勉強中心で難関国公立大学を目指して本気の生徒もいます。方向性は違っても「運動部があれだけ努力をしているんだから、自分たちも勉強で負けてはいられない」と、お互いを心からリスペクトし、応援し合える文化がありました。 卒業してからも、同窓生の名前を大学野球や大学ラグビーなどで耳にします。卒業後もこうして仲間から刺激を受け続けられるのは、報徳ならではだと思います。
――難関国公立大学の受験に向けて、どのように勉強しましたか?
中学時代は小テストと定期テストはコツコツやっていました。とくに小テストは絶対合格することを自分に課していました。高校からは数学研究部に所属したのですが、レベルの高い先輩たちにも影響を受けましたね。勉強への意識が高い同じクラスの子が最初に受験勉強を本格化させたのをきっかけにみんなスイッチが入って。メリハリをもって、それぞれの目標に向かって勉強していました。

――将来の夢や目標を教えてください。
大阪大学の地球総合工学科では2回生から専門コースに分かれるのですが、「社会基盤工学」「船舶海洋工学」「建築工学」の中から、日本の未来のクリーンエネルギーを支える「船舶海洋コース」を志願しました。現在は洋上風力エネルギーの研究室に入ることを目指して勉強中です。このコース内でトップ10の成績がキープできれば、大学院入試が免除される制度があります。それを活用して大学院進学の試験期間に海外へ留学することを目標にしています。
報徳学園には、自分の持ち味を活かして社会に貢献するという「報徳教育」があります。その学びを社会で実践できるように励んで、将来は日本のエネルギー問題を最先端の技術で支えられるエンジニアになりたいです。
<取材を終えて>
久しぶりに訪れた報徳学園で、懐かしい話でもりあがった3名の卒業生たち。それぞれに高い目標を掲げて大学進学を果たし、現在は将来に向けて充実した学びの時間を過ごしている姿が印象的だった。3人が口をそろえていたのは、授業中は集中して勉強と向き合い、休み時間や部活動では、のびのびとエネルギー発散する男子校ならではのメリハリだ。また個性豊かなクラスの仲間や、スポーツでは全国レベルで闘う生徒をお互いにリスペクトし合い、自分の目標を高めていく姿勢も同じく報徳学園らしさだろう。10代の多感な時期を、自らの強みを見つけて育みながら過ごせる環境だ。

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