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仁川学院中学校

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スクール特集(仁川学院中学校の特色のある教育 #4)

新コース開設より3年。中高一貫で「人間力と知力」を育む仁川教育の魅力。

2019年より、ICT教育と新コース制がスタートした仁川学院中学校。3年が経ち、生徒の成長に手応えを感じる中、学院が目指す次のステージと中高一貫教育の魅力についてレポートする。

中高一貫教育で、中学入学時には、質の高い学力を育み難関国公立を目指す「アカデミアコース」と豊富な体験を通して人間性を磨き難関私立大を目指す「カルティベーションコース」の2コースが設置されている仁川学院中学校。独自カリキュラムとなる本コースがスタートした2019年には、一人に1台のタブレットと教室にホワイトボードが設置され、ICT教育も本格化した。時代の変化にいち早く対応し、教育の姿を一気に進化させてから3年、授業のスタイルはもちろん、教師と生徒のコミュニケーションや自主性など、さまざまなところで意識の変化や成長が顕著とのこと。大学進学というゴールを見据えて6年間の成長を描ける中高一貫教育ならではのよさについて、中学校教頭の長町康弘先生に話を聞いた。

能力と可能性を広げる多コース制

中学入学時には「アカデミア」と「カルティベーション」の2コースでスタートするが、高校1年では「カルティベーション」が2つに分かれて全3コースに、さらに高校2年では「アカデミア」も2コースに分かれて全4コースとなる。生徒はクラブ活動や学外活動と勉強のバランス、志望校や学力を考慮し、自ら納得するコースを選択しながら進級する。

「中学入学時から難関国公立大学を考え、勉強を中心に学校生活を送る生徒もいれば、クラブ活動をメインにしたいと考える生徒もいます。中学はどちらのコースでも学力の基礎基本、カトリックの教えによる豊かな人間性の育成を大切にしており、目標を掲げて自ら学び行動できる自主性を育むことを大切にしています」と長町先生は話す。

近年の大学受験では入試の多様化がますます進む。中高6年間をかけて、社会に求められる人間性と問題解決能力を身に付け、自らの可能性を広げることで、さまざまなアプローチにより自分にあった進学実現が目指せるコース制だ。

探究を軸に育む学びへの高い自主性

学問的な探求を意識した幅広いプログラムで質の高い学力を身に付ける「アカデミアコース」では、中学1年~高校2年まで「探究」の授業が展開される。5年間をかけて、将来、大学で学ぶための素地となる高い知的好奇心が育まれるが、中学校では他学年と一緒に学び、資料の調べ方や統計の読み方などの基本的スキルだけでなく、興味の幅を広げるフィールドワークも盛んだ。

「中学校からスタートする探究活動ですが、高校2年生では、それぞれのテーマごとに数カ月を費やして発表会に向けた準備を進めていきます。今年度も高大連携プログラムの一環として、大学の先生に指導を仰ぎながら研究を進めました。11月に実施された発表会には中学生も参加して、先輩の発表を熱心に聞いていました。先輩の姿に刺激を受け、自分の活動へのモチベーションが高まったのではないかと思います」と長町先生は振り返る。

高大連携講座として、薬学、社会学、看護・医療系の大学の先生からアドバイスを受けながら進めていく探究は、AI将棋やジェンダー論、アレルギーなど、テーマはバラエティ豊かだ。生徒はもちろん、担当教員も充実した時間を過ごしているとのことで「探究は失敗を恐れていたら進みません。『失敗してもいいからやってみよう』とチャレンジをすることで人間的な成長につながりますし、チャレンジしたことに『失敗はない』と生徒たちも気づいてくれています」と、成長の手応えを話してくださった。

社会とのつながりの中で自分を磨き、将来を見据える

大学での学びにつながる基礎研究のイロハを探究を通して学ぶアカデミアコースに対して「カルティベーションコース」では、社会に参画する者としての姿勢や態度を、幅広い体験を通して学び、コミュニケーション力を磨く。中学生ではとくにコミュニケーションの基本を一から教わる。

ここでは中高一貫教育ならではの他学年とのかかわりも大切な学びとなっている。クラブ活動に重点を置いて学校生活を送る生徒が多いのもカルティベーションコースの特徴のひとつ。中高合同で活動するクラブもあるため、自然と先輩の姿が手本になり、高校生もよい手本として後輩に接しているそうだ。長町先生は「本学の建学の精神である『和と善』の教えに通じており、学年を越えて仲良く、よい行動をわかちあってくれています」とその様子を話してくださった。

カルティベーションコースでも、高校1~2年では探究活動がある。社会とのつながりや自分たちが生きる世の中を考えて、企業からのミッションに基づいて活動したり、地域の企業に協力をあおいでインターンを経験したり、学校の外でも学べる「開かれた学び」が特徴的だ。

ICT活用で生徒が主体の授業へ

2019年より、タブレット一人1台制で各教室にホワイトボードが設置され、タブレットを活用した授業がメインになっている。導入時、「文房具としてICTを利用する」というあるべき姿が提示され、以降は生徒が教師とともにICT委員会を運営しながら、自主的なルール作りが進められてきた。その甲斐あって、3年が経った今、生徒にとっては文房具として当たり前のツールに定着している。

ICTは授業のスタイルを大きく変えた。教師が伝えることがメインだった授業から、探究の時間を中心に生徒が主体の授業へと変わり、すでに教師主導の授業から脱却しているという。授業中のコミュニケーションも闊達で、学びの好奇心を育む好循環が生まれているそうだ。

また日常的なコミュニケーションにおいても、タブレットを使って表現することで、教師に正直な思いを伝えやすくなるという効果もあった。今までなら、教師と生徒が1対1で対話をしようと思えば、時間と場所の約束が必要だったところが、タブレットでは直接やり取りができる。お互いに伝えたい「今」を逃さなくなり、教師と生徒の関係の向上につながっている。

次ステージ「55分授業」への挑戦。

2022年度より、高校が新学習指導要領になることを受け、仁川学院では中学も高校も55分授業が導入される。今まで1週間の単位数が、45分×7時間×5日(アカデミアコースは土曜日4時間あり)だったところを、55分×6時間+ホームルーム1時間(アカデミアコースは土曜日3時間あり)という編成になる。これは探究など、考え表現するプログラムの中で、プラス10分で生徒の到達点を伸ばすことも可能になり、また教科の授業においても10分でさらに深い学びが得られる構成になる。

「たかが10分ですが、されど10分です」と長町先生は言う。プラスの10分の積み重ねが、仁川学院の学びの次ステージへのきっかけとなるよう、創意工夫を考えていると話してくださった。

ICTの活用が始まって、生徒と教師の距離が近くなり、ライブ感が生まれたという同学院の授業。この10分が生徒の持ち味やよさを引き出し、成長につながるきっかけにしたいという意気込みを感じる。ICTと探究での確かな成長の手応えが次の教育ステージへの原動力になっていると感じた。

中高一貫校としての仁川学院教育

本学院は高校の生徒数が多いため、中学は併設校的なイメージがあるが、やはりキリスト教カトリックの教えを核とする人間教育は、中学からの6ヵ年教育が断然学びが深いと長町先生は力説する。建学の精神である「和と善」は、神からの贈り物としての人間をお互いを尊び、仲良くする「和」の心で、「善」をわかちあうことに生きる喜びがあると、生徒の様子を話してくださった。

中学と高校での合同行事も多く、クラブ活動や体育祭、文化祭など、交流の中で自然に学び合える姿勢があるのも中高一貫校のよさだ。高校へ進学してからも、生徒は中学へしょっちゅう顔を出してくれるとか。中学での3年間の生活が、心のよりどころになっていることの表れだろう。また教師の方でも、中学校教師が高校の授業の様子を見に行くなど、6年間の中高連携を意識した展開が実施されている。

また教科の勉強はもちろんだが、探究を中心とした活動やプログラムを中学の3年間でしっかりと取り組むことで、高校での本格的な探究活動をより充実させることも可能だ。ICT教育においても、中学から当たり前のツールとして利用することで、学びを深める自主性も早期に確立させやすく、自分に最適なコース選択が可能になるのではないかと感じる。

<取材を終えて>
キリスト教カトリックのミッションスクールとしては珍しい共学の仁川学院は、訪問の度に瀟洒な雰囲気とのびのびとした校風に惹かれる学校だ。今回は中間一貫校としてのメリットを、2019年からの新コースとICT教育の取り組みを振り返るかたちで話していただいた。この3年間で教師の意識が大きく変わったと話してくださったのが印象的で、ICTを活用する生徒の姿勢に、教師も大いに学ぶものがあると言われる。生徒主導の授業の様子は、オープンスクールや学校説明会で体感できる。中学受験における学校選びにおいては、どのような学びが将来に直結するかも参考にしてほしい。

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